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This is the moment ⑰

「ごめんね、アッキー」  すまなさそうにジュンが謝ってきた。 「だから、ジュンが謝ることじゃないから。黒崎が大人げないだけだから」 「だけど、ガッちゃんの気持ちも分かるから。遠距離だし、ちょっとでも晃良くんと2人の時間を過ごしたいんだろうし」 「ジュン……」 「あのさ、この途中にあるアウトレットで降ろしてもらっていい? 俺、1人で買い物行ってくるから。ちょうど行きたい店が入ってたし。アウトレットはこんな機会でもないと行かないから」 「だけど……」 「ほんとにいいから。だって、アッキー施設へ行くんでしょ? そしたら余計俺がいても邪魔になるだけだと思うし」 「そんなことないけど……」 「アッキーが誘ってくれただけでも凄く嬉しいし。後はゆっくりガッちゃんと過ごして」 「……そしたら夕飯だけでも一緒に食べよう。夕方集合して。な?」 「うん、分かった。そうしよ」  有栖がニコリと笑った。ちらっと黒崎を見ると、ちょうどこちらを伺っていた黒崎と目が合った。慌てて前方に視線を戻して、運転に集中しているフリをしている。  本当に素直じゃねぇな。  結局のところ、黒崎は言いすぎて有栖に悪いと思っているのだ。けれどあの性格上、自分からは言い出せないのだろう。黒崎と長い付き合いの有栖もきっとそこは分かっているからこそ、何も言わないし、黒崎に対して態度も変えないのだろうけど。  アウトレットで有栖を降ろし、そこから郊外にある施設へと向かった。途中の道で、以前施設に行った時と同じように黒崎がコンビニでお菓子を買いだめしていた。相変わらず雨も降り続けていたので、念のためにビニール傘も2本購入する。

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