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第95話 殿下に遊ばれる僕
デプリオン殿下に揶揄われて僕は顔が熱くなってしまった。
「ふふ、そなたが噂のリオネルンか。この度は婚約おめでとう。王都の貴族たちはそなたの噂でいつももちきりだな?
確かにそなたが見目麗しいのは王族の私も認めるところだが、私はリオネルンを数術の革命児として高く評価している。
教授の秘蔵っ子で有ることももちろんだが、私も常々そなたから報告される考えや理論に驚嘆していたのだ。
今日はその事もあり、直接礼を言おうと来てもらったのだ。
そなたに王宮に来てもらうのは、リュードしかり、白騎士団長しかり、守りが強くてなかなか大変な事なんだよ。」
殿下はそう言って面白そうに笑うと、侍従にお茶の用意をさせた。
僕たちがひとしきり数術の話をして盛り上がった頃、殿下はふと僕をじっと見つめてため息をついた。
「そうは言っても、やはりリオネルンは麗しさでは抜きん出ているな。
いつも冷静なヘンリックでさえそなたを特別に扱っているのが見て取れる。
我弟も一時期はそなたにぞっこんで、聞いてるこちらが辟易してたものだが実際会ってみるとよく分かる。
まぁリュードに弟は上手いこと誤魔化されたのだから、リュードのリオネルンへの愛は大層重くて深いのだな。」
殿下はそう言ってヘンリック様に流し目を送ると、クスクスと笑ったのだった。
聞いてる僕はカップを持ちながら赤くなったり、青くなったりで、先程の会話と違って心休まらない時間だった…。
最後にいつでも執務室へ顔をだす様に言い渡されて、僕は殿下の前を辞した。
殿下がご自分の執務室へお入りになったので、僕はヘンリックに執務室の補佐員達に紹介してもらった。
皆さんとても親切にしてくれて、沢山数術のお話も出来てすっかり長居してしまった。
帰りはヘンリック様が高等院まで送ってくださる様だった。
結局いつも僕はヘンリック様に面倒を見てもらうばかりで、何のお返しもしていないなぁと反省した僕だった。
「ヘンリック様、いつもありがとうございます。僕は昔からヘンリック様の手を煩わせてばかりですね。
ヘンリック様が優しいからつい甘えてしまって。今度何かお礼をしなくちゃいけません!」
そう言って、僕が馬車の中で考え込んでいると、ヘンリック様は僕の手を取って言った。
「結婚前の今なら頼めるんだが…リオンに折り行ってお願いがあるんだ。」
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