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第107話 実習の夜

「ふぅ、足が痛いよ。」 僕は怠く感じる足を揉みながら、野外テントの簡易ベッドに座った。 このエリアは色々な鉱物が出るという事で、僕たちはそれを見るためにあちこち連れ回されたんだ。 午後中移動してばかりで、僕ら学術の学生たちは皆限界だった。 流石に武術の騎士見習い達は平気そうだったけれど。 「リオン、大丈夫かい?」 「ユア!来てくれたの?もう足が怠くって限界だよ。」 ユアが陣中見舞いに?来てくれた。ここは屋外テントだけど開放型なので、誰でも出入り出来るんだ。 ユアは僕を見下ろすと跪いて編み上げの靴と靴下を脱がした。 そして僕の足を自分の腿の上に置くと、爪先から丹念に揉み解し始めた。 僕はあまりの気持ちよさにすっかり脱力してふにゃにゃになってしまった。 「…ユア、…そこ気持ちイイ…。あんっ。」 キースが血相を変えて走って来て、僕の口を塞いだ。 「ばか!こんな所で変な声出すな!」 僕はモゴモゴと抵抗したけれど、なぜかユアまで怒られていた。 「ぷはっ。キース酷いよ、急に口塞いできて。せっかく今ユアが僕の足揉んでくれてるのに。 ユア、気持ちイイからもっと…やって?お願い。」 「ユアもユアだ!こんな場所でリオンに変な声出させるような事しちゃダメだろ⁉︎」 もう、キースは何だか怒りっぽいな。 僕が膨れてキースを睨んでいると、ユアは色っぽい顔をして僕に囁いた。 「じゃあ、明日帰ったらたっぷりリオンの全身をマッサージするよ。リオンがもうやめてって言ってもやめないからね。」 僕はユアの目に熱いものを感じてゾクゾクしてしまって、思わず小さく喘いでしまった。 「うぁー!お前らときたら、この雰囲気どうしてくれるんだ!」 キースが叫んでいるので、ふと周りを見ると何だか静まり返って皆こちらを赤い顔して見ている…。 あれ?何かまずいことしたかなぁ?ユアを見上げると困った顔をしているだけだ。 突然キースは真顔になって、ユアに耳打ちした。 ユアはハッとした様に僕とキースを見ると頷いて足早に立ち去った。 「ユア、どうかしたの?」 キースは声を顰めて僕に耳打ちした。 「馬車でのロナルド先輩の話だ。リオンが賢者に思われた可能性があるから、どうするか対策を考えなくちゃ。 とりあえず、夕食後の自由時間にアーサーとユアと僕らで集まって話をすることにしたから、リオンもそのつもりで。」 僕はキースの酷く深刻そうな様子に、黙って頷いた。 でも僕はまだ気づいてなかったんだ。これがどんなに大変な事かって。

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