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第117話 リュードside結婚式
神殿の天井の明かり取りから、キラキラとした光が差し込んでリオンに降り注いでいる。
私たちのリオンはきらめく光の粒をまとう様に、ゆっくりと一歩一歩歩み寄って来た。
リオンに良く似合う真珠色の美しい艶のあるパンツドレスはレースのコート部分が後ろに長く伸びている。
輝くミルクティー色の髪は額をふわりと立ち上げて凝った飾り編み込みがなされて煌めく宝石で飾られ、後ろに緩く下されていた。
いつの間にリオンは髪を伸ばしていたのか、貴族院へ入学した時は肩でばっさり切り揃えられていたはずだ。
私たちが髪を切ったリオンを見て愕然としていたのを覚えていたのだろう。
自分の見え方に頓着しないリオンが、私たちのために髪を伸ばしてくれていたと思うとこんなに胸が温かい。
リオンの左右の耳には私たちのそれぞれの瞳の色、濃い紫色とスモーキーグレーの宝石の耳飾りがはまっている。
それを見る度に、私はリオンに受け入れられた喜びに心を震わせるのだ。
いつも麗しいリオンだが今日は何だか神々しく、まるで神話に出てくる人でないものの様で。
私が思うより大人になっていたのか、可愛いリオンは今日は影を潜めて、儚げで美しい青年としてそこに存在していた。
リオンの後から付き添って歩いてくるキースとアーサーが、まるでリオンを守る守護官の様で、見るもの全てをうっとりとさせていた。
神殿の中央の石像の左右に私とユアは立ち、愛するリオネルンを迎えた。
私たちを見つめるリオネルンは輝くばかりに愛をほとばしらせていた。
私は心臓を鷲掴みにされたような苦しさと、湧き上がる歓喜で胸がドキドキと激しく拍動していた。
女神の前に三人で跪いて祈りを捧げ、私たちの結婚は確かなものとなった。
私は、胸いっぱいに広がる喜びと、リオンをユア以外の他の何者にも獲られない安堵を感じた。
きらめく光の中でリオンが囁く愛の言葉を身体に染み込ませる様に私はリオンに口づけた。
甘くて柔らかいリオンの唇は離れがたく、私の中の饑餓感が私を追い立てていく。
リオンの甘い喘ぎ声に我に返った私は、ユアの苦笑と参列した立ち会い人達の呆れ顔にしくじったと気不味く思った。
けれど、リオンの真っ赤になった恥ずかしげな潤んだ眼差しを見るとやはり気持ちは抑えきれない。
私はリオンをユアに渡す前に、頬を指先で撫でながら囁かないではいられなかった。
「リオン、今夜は寝かせてあげられないよ。愛してる。」
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