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第118話 ユアside初夜の始まり

無事に今日という大切な日が終わった。 俺とリオン、リオンの兄君リュード様の結婚式だ。 リュード様には俺たちは立場が一緒なのだから呼び捨ててもらっても構わないと言われた。 しかし俺はまだ学生で、リュード様のように一人前ではない事もあって、敬称は外せない。 早く一人前になりたいと思うのはこんな時だ。 リオンは今日はセブに連れられて寝支度をしに浴場へ行った。 私たちの新居は三人でゆったりと寝れる大きな特注のベッドをリオンの部屋に用意した。 リオンの部屋には4~5人で入れそうな大きな浴場もあり、マッサージベッドも備えられている。 部屋の先には薔薇のプライベート庭園が眼下に見える広いテラスデッキがあり、外で食事が出来るようにテーブルセットもある上に、庭園の樹木が王都にあるとは思えない様な空間を作っている。 寝室の隣の家族用の団欒室にはリオンの考えた半分室内の様な半分屋外の様な、ガラス張りの空間[コンサバトリー]が併設されていて、この造りを初めて見た時はこれから王都で流行りそうだなと感嘆したものだ。 俺とリュード様の部屋はリオンの寝室に続き部屋としてそれぞれ独立してあり、仕事や勉強なども十分に出来るしつらえになっていた。 俺とリュード様はリオンの寝室にある応接コーナーでお酒を嗜みながらリオンを待っていた。 「ユア、これから二人でリオンを支えていこう。色々お互いに思うところが出てくるかもしれないが、その都度解決していきたいと思っている。リオンへの愛に乾杯。」 そう言って、リュード様は優美に微笑んで盃を持ち上げた。 俺は同じように盃を持ち上げてひと息に盃を空にして言った。 「リュード様、若輩者ですがリオンを愛する気持ちは変わりません。共に生涯リオンを真っ直ぐに愛していきましょう。」 「リュード様、ユア様、リオン様の寝支度が整いました。私はこちらで失礼いたします。」 浴場から、いつもの様に表情ひとつ変えずに出てきたセブが我々に挨拶すると部屋を出て行った。 私とリュード様は浴場のドアが開くのを待っていたが、待てど暮らせどドアが開かない。 私達は顔を見合わせて、二人同時に立ち上がると浴場までリオンを迎えに行った。 ドアを開けると、大きな鏡の前でリオンが赤い顔で佇んでいた。 「…リオン?」 私が声をかけるとリオンはハッとした様にこちらを振り返った。 私達はそのリオンの艶やかな姿に言葉を失っていた。

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