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第12話「入らない」

「鷹夜くん」 「、、うん」 芽依の顔は見る見る内に、何とも情けないハの字眉毛を作ってしまった。 「入らない、、」 ? 「、、はい、?」 ぽかん、と鷹夜の口が開く。 「ちんこ、入らない、、」 現在自分達の身に起こっているこの事態が余程悲しいのか、或いは苛立ったのか。 とにかく芽依は鷹夜を見下ろしながら、予想外過ぎる事態にどしたらいいのか分からなくなっている。 「え、、も、もう少し力入れていいよ?」 それは鷹夜も同じだ。 もはや何と答えれば良いのか分からない。 謝った方がいいのか、それともフンッ!と踏ん張って後ろの穴を広げるべきなのか。 「あ、うん。あの、結構力入れてるんだけど、ゼリーいっぱい塗ったんだけど、ちょっと、、」 「え、っとー、、俺が、力み過ぎてる?」 「え?でも、」 「ぁんっ、え、なに、ンアッ!」 そう言うなり、芽依は鷹夜の後ろの穴から自身の肉棒を遠ざけ、代わりに右手の中指をちゅぷんっと中に入れてしまった。 「アッ、やっ、?!」 「入るんだよ、指は」 確かに、やたらとすんなりと奥まで届いている。 「コラ、待ちなさい、やめっんっんっ、芽依、んっ、今違うだろ!!」 バシンッ 「いだッッ!!」 緊急事態だと言うのに中で指をくちゅくちゅと動かす芽依の頭を引っ叩き、鷹夜はすぐさま指を抜かせる。 状況を整理するとこうだ。 指は簡単に入るのに、芽依の大き過ぎるイチモツが中に入らない。 叩かれた頭を押さえつつ、芽依は真剣な顔で再び鷹夜を見下ろした。 「ご、ごめん、、」 「入んないってどう言うことだ。ちょっと、もう1回挿れてみて」 「え、痛くない?」 「痛くはないだろ、指2本も挿れたんだし」 いざ挿れる寸前までビビっていたくせに、と思われるかもしれないが、鷹夜は真剣に疑問を抱いていた。 確かに太いし、確かに大きい。 しかし、芽依の指2本は入ったのだ。 盛り上がり過ぎて「おっき過ぎるっ、、!」とか初めての女の子並みに昂った感想を思ってしまっていたが、あれだけ手の大きい芽依の指を2本も飲み込ませた自分のそこに、まさか入らない棒があるなんて。 今度はにわかにその方が信じられなくなっていた。 「ほら、早く」 「待ってよ、雰囲気とか大事にしたかったのに、、」 「何言ってんだよ雰囲気もクソもあるかこの際。入らないって事実が驚きでムードなんて吹っ飛んだわ。それより挿れる方法考えるぞ」 「やだあ鷹夜くんたら男前になってる。そう言う潔さ好き、、」 「ありがとう。早くしろ」 「はい」 返事をするなり芽依は自分の股間へ視線を落とした。 萎えかけたせいでゴムと性器の間には空気が入ってしまっており、仕方なく不発だったひとつ目のゴムは潤滑ゼリーまみれのまま剥がして捨て、ふたつ目のゴムの小袋を破いて装着する事にした。 「フェラする?」 「ううん、大丈夫。でもチューして」 「ん、」 芽依のそれがまた雄々しく勃つように、と鷹夜は起き上がって膝立ちし、自身の性器を扱く芽依の肩に手を掛けて彼にキスをする。 いつも通り柔らかいお互いの唇にふにゅ、と唇を押し付け合ってから、少しだけ開けた鷹夜の口に芽依が舌を滑り込ませた。 「ん、ん、」 「鷹夜くん、好き」 「んっ」 ねっとりと舌同士が絡み合い、体温を混ぜるように角度を変えて何度もキスをする。 時折りどちらかがどちらかの舌をぢゅうっと音を立て吸い上げ、崩れかけたエロティックな雰囲気を再び寝室に充満させた。 身体に昂りが戻ってきた芽依は鷹夜とキスをしながら萎えかけていた性器をシュッシュッと激しく扱き、また奮い立たせていく。 (俺の勃たせるためにえっちなキスしてくれる鷹夜くん、、控え目に言って最高) おかげで、暫くすると先程と同じくらいには勃起した。 「芽依、座って」 「ん、や、鷹夜くん無理は、」 「絶対挿れんだよ。ほら」 「わっ」 あぐらをかいた芽依の太ももに跨り、鷹夜は芽依が扱く彼の性器を見下ろし、そこ目掛けて腰を落としていく。 「待って、ゴムッ」 「早くしろ。ん、」 「たか、や、んむっ」 膝立ちした鷹夜が上から芽依の唇を塞ぎ、性器にゴムを着ける彼のそれが萎えないように舌で翻弄した。 「っん、鷹夜くん、今日えっちすぎ」 「挿れたいんだよ」 「分かったから、、こんなにガッツかれたら俺が保たないよ」 「んん?」 「無理矢理にねじ込みたくなっちゃうからやめてって言ってんの。無理矢理プレイはまた今度!今日はゆっくりやろ!」 「え、無理矢理プレイしたいの?うわ、演技力問われるな、、」 「ん、着いた。ゆっくりお尻落として」 「ん?ん。芽依、舌出して」 「あ」 言われるがままに舌を出すと、鷹夜がそれにしゃぶりつく。 裏表間違えずに再びゴムが芽依の性器を包むと、ほんの少しキュッと締め付けられた。 2人は濃厚なキスをしつつお互いに性器と穴の位置を確認し、ゆっくりと近付けあっていく。 「ンッ」 ちょん、と芽依の性器の先端が鷹夜のそこに当たった。 (これだ、ここ、、あ、) 狙いを定めて性器を穴の入り口に宛てがうと、鷹夜は腰を下ろし切ってそれを挿れてしまおうと穴から力を抜いて、芽依は挿れやすくなるように鷹夜の尻たぶを掴んで左右にグッと開いた。 (あ、拡げられてる、、芽依のが入るように、後ろの穴がくぱってされてる) 思わず熱い吐息が漏れる、そう感じた次の瞬間だった。 めりっ 「ッ!?」 芽依のそれがほんの少し、穴の入り口を押し拡げて鷹夜の中に侵入した。 「ッッッい、」 「え?」 「いってぇええ!!!!」 「うわッ!?」 次の瞬間、余りにも拡げられた穴が痛み、鷹夜はそう叫んで止まってしまう。 芽依は彼の大声に驚きつつ、「え?えッ!?」とこちらも軽くパニックを起こして、間違えて鷹夜の尻たぶを思い切り左右に引っ張ってしまった。 「痛い痛い痛い!尻拡げんなそれも痛いから!!」 「あ、ごめん!!」 「待って抜いて!?抜いていい!?ちょっと待って予想外過ぎるから一旦待って抜かせて!!」 「抜く抜く抜く!抜くから暴れないで鷹夜くん!!」 痛みで暴れつつも、ハマってしまった性器が大き過ぎて穴から抜けずに慌てる鷹夜。 亀頭を締め付けられて腰を振りそうになりつつそれを堪え、暴れる鷹夜の腕を掴んで落ち着かせる芽依。 もはやムードなどはなく、高校生のようにギャーギャーと騒ぐ2人が寝室にいた。

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