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Interlude①Man In The Miller/Michael Jackson

『ーーーー鏡の中の男』 Man In The Miller/Michael Jackson ーーーーーーーーーーーー いつも通りの流れのはずだった。 駅とかチェーン店とかホテルの前とかで待ち合わせて、飯を食ったり遊んだりセックスしたりして、それで終わり。、 でも、今回は出鼻を挫かれた。 リーマンとか学生とかの帰宅ラッシュが過ぎて、人通りが少なくなってきた駅の改札で音楽を聴いていたら、肩を叩かれた。 「鈴木さん?」 笑うソイツの顔に度肝を抜かれた。 色素の薄い茶色い目に、すっと通った鼻筋に、整った顔立ち。背が高いシュッとしたイケメン。 ユウジにそっくりな顔した男が、今夜の相手だった。 「あれ、違いました?」 少し困ったような表情の作り方も、機嫌の良い時に出す暖かみのある声も、まるで同じで背筋がゾッとするくらいだ。 ユウジと違うのは品のいいビジネスショートに切られた黒髪くらい。ユウジの髪は茶色がかっている。 「あ・・・えっと、春野さん?」 まだ信じられないような気持ちで聞くと、 「あーよかった。人違いじゃなかった」 パッと表情を明るくして笑顔になる。 何から何までそっくりで、なんか逆に気色悪くなってきた。 「取り敢えず飯でも食いに行きます?」 頷いて、駅から歩いてすぐの飲み屋に入った。 「アプリって初めてですか?」 春野はつまみを適当に注文した後聞いてきた。 「いや、結構前からやってますけど」 なんか知らねえけど敬語になってしまう。 「そうなの?なんか緊張しているように見えるけど」 「知り合いに、似てるから」 口の中が乾いてきて水を口に含んだ。 「そうなんだ。じゃあちょっとやりにくいよね」 春野は人好きのする顔で笑う。 この後ほんとにセックスする、んだよな。 ヤリモクのアカウント使ってたし。いつもと同じような流れだし。  春野は焼酎を片手にとりとめのない話をしていた。俺はウーロン茶を飲みながら歯切れの悪い返事を繰り返すばかりだったけど、春野はずっとニコニコしてた。 店を出た後、春野は 「行く?ホテル」 と案の定聞いてきた。 やっぱりな。いつもの流れだ。 でも、俺は、初めてその誘いを断った。 いつもより少し早い時間に帰ると、ユウジは嬉々としてギターを用意してきた。 なんか変な感じだ。 さっきまで同じ顔したヤツと一緒に居たんだから。 でも、ギターの音を聞いてたら落ち着いてきた。 俺とユウジには音楽がある。 でもこれからどんどん泥沼に嵌っていくことになるなんてこの時は思ってもみなかった。

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