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マカダミアン・ヴァンパイアン・キッス

 吸血鬼は繁殖している。  そして俺は養殖されている。  「―というわけでフランス革命がおきるまでの流れは大体掴めたな?」  手に塗したチョークの粉を音高く払いつつ教室を見渡す。  「当時フランスではルソーやヴォルテールが唱えた社会契約説が知識人に影響を与え、それに国民が共感したことで社会体制に対する不満が鬱積した。ま、そんだけ貧富の差が激しかったんだな。贅沢三昧の特権階級の裏には圧制に虐げられ苦しむ市民の姿があった。当時のお妃といえばオーストリアから輿入れしたかの有名なマリー・アントワネット。その可憐な美貌と放蕩ぶりで後世まで語り継がれるアントワネット王妃が、パンにもろくにありつけねえ庶民にむかって言い放った台詞とは?」  「はい」  最前列の生徒が挙手する。  教師一人生徒一人、ガチで一対一の補習授業なんだからわざわざ手を上げる必要ないってのに律儀なのかズレてるのか一種のいやがらせか判断に困る。  「どうぞステヴァンくん」   「輸血パックがなけりゃ生き血を吸えばいいじゃない」  「不正解」  答えを外したステヴァンは「え~」と不満そうなふくれっつら。  「正解は……」  「はいはいはい!」  「……どうぞステヴァンくん」  先生あててあてて今度こそ外さないからと椅子から伸び上がって手を上げるステヴァンをいやいやさす。一対一、それも教壇と最前列じゃ1メートルと離れてないんだから無視するわけにもいかねえ。  そもそもこれはステヴァンただ一人のために設けられた特別授業なのだ。  ステヴァンは自信たっぷりに顎を引き咳払いをかます。  「糖分が足りなければ鉄分で」  「次、バスチーユ監獄行くぞー」  「補えばいいじゃない、って最後まで聞いてください」  「既にして原型ねえよフツーに不正解だよ、間違える方がむずかしいだろ。正解はパンがなければお菓子を食えばいいじゃないだ。宮廷育ちのセレブ王妃はこの一言で飢えてる国民を完全に敵に回して断頭台の露と消えたわけ」  「歴史に残る暴言ですね」  「革命の引き金をひいた暴言としてノートに書いとけ」  ステヴァンは素直に従う。シャーペンをさらさら走らせ俺が板書した内容をノートに書き写していく。  見た目は完璧外人のくせに誤字脱字ひとつなく綺麗な日本語を書くあたりイヤミだ。  勤勉な生徒がノートに補習内容を書き写すあいだ、暇を持て余し教壇に頬杖をつく。  外は馬鹿みたいにいい天気だ。  半端に引かれたカーテンのむこうから校庭で練習中の野球部や陸上部のかけ声が届く。  大きく振りかぶられた金属バッドが硬球と激突、快音を響かせるいつもの放課後だ。  現役高校生の時は時代遅れの坊主狩り、甲子園なんかめざしちゃったりするヤツらの気が知れなかったが大人になってみるとちょっとわかる。  俺は当時からいかにして女の子と付き合うか先に進むかで頭がいっぱいのナンパでスケベな男子高校生だった。それがどこでどう道を間違え高校教師なんてお固い職についてるのかふしぎでしょうがねえ。  教える側に立ってみて初めてわかる当時の担任の気苦労。  不真面目な生徒でごめんなさい岡田先生と当時の担任を思い出し反省、あくびをひとつぱらぱらと手元の教科書をめくる。  「あーだりー家帰りてー」  「真面目に補習してる生徒の前で人としてダメダメな本音を吐かないでくださいよ先生」  「やる気ねー帰りてー。議会で一番後ろに座ってる野党の人なみにやる気ねー」  「政治批判ですか」  ばたりと教壇に突っ伏す。  「あーなんだってよりにもよって今日に補習なんかー……タイミング悪い。しかもお前とふたりっきりで」  「元気だしてください、僕は放課後も先生と会えて嬉しいですよ」  最前列の机に着席し、にっこりと微笑む生徒の名前はステヴァン。俺の天敵。  笑うと持ち上がった口の端からやけに尖った犬歯が覗く。  天使のような巻き毛と青い目、生まれたての子鹿のように華奢でしなやかな体つき、どっかの聖歌隊に混ぜたくなる可憐で中性的な容貌の美少年。  髪と目の色はルーマニア人にして世界的映画監督である父親の遺伝らしい。  きっちり学ランを着込んだステヴァンは、人さし指と中指に挟んだシャーペンをくるくる回しつつからかう。  「どうせこのあと予定ないんでしょ、また彼女と別れたって聞きましたよ」   「または余計」  「長続きしないんだから。やっぱり先生に性的な欠陥があるんじゃないですか」  白々しくほざくステヴァンに堪忍袋が切れ、教壇を叩いて立ち上がる。  「今回の破局はお前のせいだお前の!」  シャーペンを回し続けるステヴァンにわななく人さし指をつきつけ、シャツの襟元を寛げておもいっきり横に広げる。  「見ろ、これを!」  首筋を外気に晒す。  俺の位置からじゃ見えないがそこには一対の穴が生々しく穿たれている。  出血はとまってるが、まだ傷は塞がりきってない。  首元をはだけ傷痕を露出した俺に何を勘違いしたのか、ぽっと頬を赤らめる。  「いやだな先生、学校の教室でストリップなんて過激だな。そんなに欲求不満なんですか」  「お前が!俺の血を吸いまくるから!肝心な時に貧血でくらっときてこのへタレとか持久力なしとか罵られるんだろうが!!」  「辛辣なカノジョですねえ」  ステヴァン・パイヤーの正体は吸血鬼だ。  正確には淫魔の母と吸血鬼の父をもつ混血だ。  ひょんなことからそれを知った俺は、以来ステヴァンにえものとして目をつけられ受難の日々を送るはめになった。  たった今えものと表現したが、その扱いは非常食か携帯用輸血パックに近い。  半分淫魔の血が流れてるせいか吸血鬼としちゃ変わり種で太陽の光を浴びたところで灰にならずぴんぴんしてるが、一定期間血を摂取せずにいると色々不都合が生じるんだそうだ。  よって、俺はステヴァンに養殖されている。  「だって約束したでしょ、自分が犠牲になるから教え子には手をだすなって」  瞳孔を細めてほくそえむステヴァンに痛いところをつかれ、うっと言葉に詰まる。  襲撃の翌日、学校で見かけたステヴァンを屋上に引っ張って給水塔裏で説教した。  俺は非常食の運命を妥協する。  その代わり正体をばらされたくなければ他の生徒、否、他の人間には手を出すな、所構わず人を襲ったりせず俺の血だけを吸えと迫った。  保健室に運ばれた女生徒はすぐ目を覚まし軽い貧血と診断されたが、吸血行為の記憶だけはすっぽり抜け落ちていた。  理由を問う俺にステヴァンは平然と答えた。  『一種の催眠術です。吸血鬼が使える特殊能力のひとつ、相手の目を見つめて魔法をかける。今体験した事は目を覚ましたら全て忘れろってね』   『そんなに上手くいくのか?』  『血を吸われショック状態に陥ってるときほど暗示にかかりやすいですし』  つまるところ被害者に記憶が残らない学校はステヴァンにとって理想の狩場。  このままではどんどん被害が広がっていくと懸念し交換条件を申し出たのだが。  「俺の血が吸えりゃ満足だろ……」  「満足ですよ。食生活が改善されたせいかな、先生の血最近おいしくなってきたし」  「お前が毎日通い妻して鉄分たっぷりレバニラ定食責めにしてくれるおかげでな」  「うち共働きなんで子供の頃から料理は得意なんです。マイエプロンだってもってます」  ステヴァンいわく、俺の血はひどくまずくてとても飲めたもんじゃない。飲めるようになるまで最低でも三ヶ月かかるんだそうだ。  俺は鬼コーチステヴァンの指導のもと血をキレイにする為のあらゆる努力に励み、現状少しずつ体質が改善されつつある。つまりは確実に健康になりつつあるのだが素直に喜べない。  教壇にだらしなく頬杖つき、治りかけで痒い噛み傷をぽりぽり掻く。  「どっかの馬鹿が首筋にがぶりと噛みつきやがるせいで女の前で迂闊に脱げねえし、それ以前に毎日毎日レバニラ定食作りにきやがるせいで家に呼べねえ」  「僕のことなんか気にせずどうぞカノジョさんと楽しんでください」  「蝙蝠の見張りまでつけられて楽しめるかっ」  「僕が知らないところで禁煙の誓い破られたらせっかくキレイになりかけた血が台無しですし」  しれっと言い放ち軽快に指を弾く。  上を向いた人さし指から黒い霧が生じ一羽の蝙蝠へと凝縮、超音波じみた奇声を発し天井付近で円を描く。  「俺に自由はねえのか……」   「毎日ごはん作りにいってあげてるのに何が不満なんですか」  「たまにはあっさりしたもんが食いたい」  「ダメです。血を増やさなきゃ」  「毎日毎日おれんち入り浸って親の許可はとってんのか?いくら共働きだって息子がほっつき歩いてりゃ心配するだろ」  「うちは放任主義ですからそのへんは子供の自己管理に任せるってことで。元々夜行性の一族ですし月が出てからが本格的な活動時間です」  「モンスターペアレンツが」  真剣に三者面談の必要性を検討する。もうちょっと息子の監督しっかりやってくれ。  時々俺に飯を作りにきてるのか女との仲を邪魔しにきてるのかわからなくなる。  今日はカノジョが来るから絶対くんなと強く言い置いた日に限って「おかえりなさい先生。お風呂にします、レバニラにします?」とよりにもよって自前のエプロン姿でぱたぱたやってくるんだからたち悪ぃ。  しかもよりにもよって玄関でお出迎えって  「不法侵入だろ」  「通い妻です」   「おかげでなあ、俺は教え子に、しかも男に手をつけたって誤解されてビンタくらったんだぞ!合鍵も渡してねえのに勝手に人んち上がりこんでガス使うんじゃねえ、危ないだろうが」  「カノジョとセックスするならなおさら精力つけたほうがいいじゃないですか」  「セックスとか真顔で言うな破廉恥な」  「僕だって気を遣ってるんですよ、先生には迷惑かけっぱなしだから」  しおらしく目を伏せる。だまされるな。まとわりつく蝙蝠を教科書で追い払い、背後の黒板を振り仰ぐ。  「本当に悪いと思ってるなら世界史でいい点とってくれ。他の教科は軒並み90点以上のくせにどうして世界史だけ赤点なんだ、いやがらせか」  「授業に集中できないんです。先生が美味しそうで」  教科書で頭をはたく。巻き毛が乱れる。  「あ痛っ」と叫んで首を竦めるステヴァンに英語で聞く。  「パードン?」  「授業中先生の首筋から目がはなせなくて、先生の首筋で頭がいっぱいで。これは空、恋ですか」  「ケータイ小説風に区切ってもだめだ。いま空腹って言おうとしたろ」  「そろそろ飲み頃になったかなあとか三ヶ月徹底管理のもと濾過した血はさぞ美味しいだろうなあとか、先生が無防備に背中向けて黒板に書いてるときなんて首筋がちらちらして口の中に唾わいて」  「そんな阿呆な理由なのか?そんなアホな理由で二十点とったのか?」  ステヴァンがもじもじと俯く。気色悪い。  人さし指の先をつつきあわせ、はにかみがちに笑う。  「先生を見てるとその、昨日の痴態を思い出して平常心でいられなくなるというか、ぶっちゃけ授業どころじゃないといいますか」  絞め殺したい。  「授業中の俺をご満悦で眺めながらンないかがわしい妄想してやがったのかお前は」  連続二回、教科書で頭をはたかれステヴァンが涙目になる。  「いいじゃないですか、妄想くらい。先生が僕の獲物なのは事実なんですし」  「吸血鬼である前にお前は一介の高校生なの、本分を忘れるな!」」  憎ったらしいことに、俺以外の人間の前じゃステヴァンは文句のつけどころがねえ優等生で通ってる。成績優秀品行方正、他教科はすべて九十点以上を叩き出したステヴァンが世界史で二十点をとったと発覚するや、「小山内先生の教え方に問題があるんじゃ」「よっぽど意地が悪い問題だしたのよ」「可哀想にパイヤーくん」「いくら女生徒にモテモテだからっていやがらせとは大人げない」と職員室で槍玉にあげられた。俺は無実だ。   「お前が世界史でいい点とってくれなきゃ査定に響くんだよっ、授業中サボってメールしてたんじゃねえかとか生徒から没収した漫画読んでたんじゃねえかとか現に教頭に疑われてんだよ、多くは望まないから少なくとも平均点とってくれ、頼む!」  「そういえば加藤さんから没収した少女漫画にハマって終わりのベルが鳴っても気付きませんでしたね。鼻水までたらして泣いてたけどそんなに感動したんですか、『君に仏』」  「そうそう、廃寺で見た仏像に感動した女子高生がイケメン師匠に弟子入りして本気で彫り師をめざす姿が一途で泣かせてさあ……」  じゃない。  咳払いで軌道修正、教壇に手をついて身を乗り出す。  「と・も・か・く、お前が赤点とると俺の教師としての能力まで疑われるんだ。俺がクビんなったら困るだろ?」  「寂しいです」  「じゃあとっとと」  俺の演説を遮って何やらごそごそやりだすステヴァン。  机の横にさげた紙袋から平べったい箱をとりだし机に置く。  「これを先生に」  「なんだ突然」  「父がハワイ撮影に行った時のお土産。どうぞご遠慮なく召し上がってください」  ぱかりとふたを開く。  「マカデミアンナッツか」  俺の好物だ。漂う甘い匂いに自然と小鼻がひくつく。  箱をこちらにさし出し、謙譲の美徳の実用例として辞書に載せたい笑みを湛える。  「僕が至らないばっかりにせっかくのバレンタインデーを潰してしまったお詫びです」  そう、今日は2月14日……バレンタインデーだ。俺が不機嫌な最大の理由。彼女と喧嘩別れして特に予定がないからといって、年に一度のバレンタインデーが補習で潰れて喜ぶ教師はいないはず。  面食らう俺を上目遣いに見上げ、おずおずと箱を引っ込める。  「ひょっとして甘いもの嫌いですか?余計なことしちゃったかな」  「あ、いや」  「今日だけで女の子からたくさんチョコもらってましたもんね。一組の保科さん都沢さん長谷川さん、二組の相馬さん金田さん小泉さん、三組の野々原さん……さすがに食べきれませんか?」  黄金の巻き毛縁取る美貌に憂愁の翳りがおちる。  確かに女子から大量のチョコを貰ったが全部紙袋の中で職員室の机の上だし時間的に小腹が空く頃だし、ステヴァンが気を遣って持参した父親のハワイ土産を断るほど鬼じゃない。男からチョコを貰うというシチュはちとしょっぱいが、日頃迷惑かけているおわびというなら有り難く貰ってやる。  「お言葉に甘えて」  教壇から行儀悪く身を乗り出し、ひとつつまんで口に放りこむ。一瞬ステヴァンの目が光る。  「うん、うまい」  ひとつ、もうひとつとついつい欲張って手が伸びちまう。やめられないとまらないマカデミアンマジック。  自分でも意地汚いなとあきれつつ夢中でチョコを頬張る。ステヴァンは俺の食欲を微笑ましげに見つめていたが、おもむろに席を立ち、獲物を狙う猫のように忍びやかな足取りでこっちにやってくる。  「喜んでもらえてよかった……本当に」  「!?うわっ、待て、よせっ」  振り返ろうとした刹那、蝙蝠が足に激突しバランスを崩し倒れこむ。  教壇の下にふたりして縺れ合い転がり込む。しもべの蝙蝠が耳元でうるさく羽ばたく。しこたまぶつけた背中が痛い。  それまで猫をかぶっていた教え子の豹変に危機感が募り、背広を皺くちゃにして揉み合いつつ怒鳴る。  「席にもどれステヴァン・パイヤー、廊下に立たすぞ!」  「古いなあ発想が。今の子には窓から逆さ吊りにするくらい言わないとききませんよ」  「やっぱり演技だったのか、騙された!伏せ目でしゅんとしやがって!」  「先生て単純だなあ、毎回同じ手にひっかかる。教師のくせに学習能力ないんですね」  してやったりとほくそえみつつもがく俺に馬乗りになり、手際よくシャツをはだけていく。  「どけよステヴァン、人が来たらどうする……」  「運動部が居残ってるだけ、他にだれもいませんよ」  「バレたらどうする、俺がクビんなってもいいのか!」  「静かにして、先生」  色素の薄い瞳が真剣な色を帯びる。唇の端が捲れて牙が伸びる。しなやかな手つきでシャツの襟元を開き、肌を磨き上げるようにくりかえしなで上げる。ただ触られてるだけだというのに何か変だ、次第に息が上擦っていく。  「……真面目に補習しろよ……」  「おなか空いたんです。補給させてください」  熱く湿った吐息が首筋にあたるたびぞくりと悪寒が駆け抜ける。聴覚を研ぎ澄まし、引き戸を隔てた廊下の気配をうかがう。離れた音楽室からだろう、吹奏楽部の演奏が流れてくる。他の教室に居残ってる生徒が通りかかったりしないか、他の教師が見回りにこないかと嫌な汗をかく。  体に力が入らない。どうしたんだ。抵抗しなきゃと頭では分かっている、なのに体が言う事を聞かない、手足がむなしくばたつく。  弛緩しきった腕を辛うじて持ち上げ押し返そうと努めるも脱力、ステヴァンは俺の肘をおさえつけ耳元で囁く。  「あのチョコ、美味しそうに食べてましたね」  まさか。  「なんか盛ったのか……!?」  深まる笑みは肯定の証。邪悪な笑みを浮かべたステヴァンが俺のネクタイをあっさりほどき頼んでもない説明を始める。  「淫魔の唾液には媚薬の成分があるって前に説明したでしょう。ですから効果は実質二倍だ」  とんでもないガキだ。争いあうにつれ体力を消耗していく。ステヴァンが唇を奪う。しつこく吸いついてくる唇を顔ごとひっぺがそうとぎりぎり力をこめるが、舌を伝って注ぎ込まれた唾液が粘膜に浸潤し、カッと体が熱くなる。  「甘い」  上唇を舐めて感想を呟く。余裕ありげなステヴァンとは対照的に、熱く敏感になる一方の体の変化に愕然。  「―っは、は……やめ、……―っ、変だ、体が……疼いて」  身を丸めて絶え間なく襲う疼きに耐える。前がきつく窮屈になる。体の中から炙られるようなもどかしさに苛まれ、口の中にあふれた唾液を何度も嚥下し、物欲しげに潤んだ目でステヴァンを睨みつける。  「……チョコ、………へんな味、しなかったぞ……!」  「先生の味覚が鈍いんですよ」  「失礼なこと言うな、きっとレバニラのせいだ、お前が毎日レバニラばっか食わせるから舌が麻痺したんだ!」  まずい、ヘタに口をきくと喘いでしまう。慌てて唇を噛む。前の突っ張りが苦しい、今すぐファスナーを下ろしてしごきたい。どんどん息が上がっていく、つらくなる、何も考えられなくなる。ワックスで光る床に爪を立てる。  「あっ、―あっ、うあ、ひ」  変だ、体がぞくぞくする。くりかえし襲う痙攣を前傾しやりすごす。飲み干しきれず口の端からたれた大量の唾液が床にたまる。  「苦しいですか、先生。前がすごいきつそうですよ」  「うるせ、見んな……席もどって、補習続けろ」  「先生がこんな状態でどうやって続けるんですか、教えてくれるひともいないのに」  喉の奥で意地悪く笑いつつ、妖艶な色香匂いたつ流し目をくれる。  「正解言えたらラクにしてあげますよ」  「教師に、問題、だす気かよっ……」  身の程知らずめ。片頬をひくつかせ虚勢の笑みを浮かべる俺をのぞきこみ、優しく問う。  「問題一。マリー・アントワネットの旦那は?」  「ルイ16世」  「正解」  「うわっ!?」  ズボンの上から股間をなでられ仰け反る。思わずステヴァンの腕を掴んじまう。傍から見れば縋り付く格好だ。  「んんっ……」  ズボン越しの刺激だけで甘美な刺激が走り、募り行くもどかしさに腰を揺する。  ゆっくりとじらすようにしてジッパーをずり下げた手が、今度は下着の上から既に勃起した分身をくりかえしなで上げる。  「うあ、や、よせっ…………」  下着越しのゆるやかな愛撫。泣きたいほどのもどかしさ。直接握ってしごいてくれと懇願しかけた口を慌てて塞ぐ。死んでも言うかそんなこと、教え子に自慰を手伝ってくれと泣きつく教師がどこにいる。いつもより体が敏感になっている、なにをされても感じてしまう、下着と擦れ合う感触さえも刺激に取って代わる。肌をやすりでこすられてるようだ。  「問題二。全国三部会とはなにか」  耳朶に唇がくっつく。魅惑的な声が脳髄を蕩かせる。頭が正常に働かない、思考が空転する、こんな状態で答えを言うなんて無茶だ。  下半身を覆うズボンがずり落ち、勃ちあがったペニスからぼたぼたと雫がたれる。ステヴァンがぴたりと背中に密着する。  「う………各身分の代表から構成される、身分制議会………」  「正解」  尻のはざまに勃起した股間がおしつけられる。ステヴァンが前に手をのばし、下着の中へと手をすべりこませ、直接それを握る。  「――――んんんっ、ン―!!」  ただ握られただけで達してしまう。体がびくつき、ステヴァンの手の中に粘っこい白濁を放つ。  「はあっ………は………」  汗が目に流れ込んで視界が霞む。一回達しただけで凄まじい疲労が襲う。続けてイかされたら死ぬかもしれない。  「声我慢しなきゃ誰かきちゃうかも」  ステヴァンが耳朶を噛んで悪戯っぽく囁くが答える気力もない。チョコレートに盛られた媚薬のせいか、射精したそばから前が力を取り戻していく。嘘だろ?ぎょっとする。背後でステヴァンが動く。なにをしてるのか振り向いて確かめるのが怖い、大体見なくても把握できる。生き物じみた舌が首を這い耳の後ろに絡みつく。  前を握ったのとは逆の手がシャツの隙間に侵入し、色づいた乳首をつねる。  「―い、やだ、痛ッ……さわんな、そこはやなんだよ、強くすんなっ……」  「尖ってきましたよ」  痩せた腹筋が波打つ。ステヴァンは笑いつつ、しこりを楽しむようにして指の腹で乳首を揉みころがす。  人さし指と親指でつねって搾りだし、赤く熟れた豆粒に爪を立て、もう片方の手で間欠的にぱくつく鈴口をほじる。  「あっ、あっ、あ」  「問題三、1789年7月14日に民衆が襲撃した場所は?」  ステファンが冷静に問う。快楽に濁り始めた頭で、早く精を吐き出したい一心で必死に考える。  「バ………バスチーユ監獄っ………」  あっけなく手が離れる。  「えっ」  「残念。不正解」  「う、嘘……あってるだろバスチーユ監獄で、教科書見ろよ!」  「発音が違います。正解は『ヴァ』スチーユ監獄」  ステヴァンが己の口元を示し正確に発音する。  呆然と息を荒げる俺を見下ろし、先走りで濡れた手を学生服で拭く。  「お預けですね」  「待て………」  「そんな状態じゃ補習どころじゃないですね。帰ります。さようなら」  「待て!!」  こんな状態でおいてけぼりにされちゃたまらない。  自分の机に戻って鞄をとりあげるや、平然と出口にむかいかけたステヴァンに我を忘れ追いすがり、その足首を掴む。  「責任とれよ……」  劣情で声が掠れる。ステヴァンは黙って、足元に這い蹲る俺を見下ろす。  ふと気が変わったように屈みこむや、くたばりぞこないの犬を構うような残酷な無邪気さで俺の髪に指を通して梳きはじめる。  目と鼻の先に神々しく後光さす極上の微笑みが浮かぶ。  「生徒の手本になるべき人なのにお願いの仕方がてんでなってませんね。がっかりです」  笑顔でダメだしし上履きの靴底で軽く股間を押す。  「―――ひっ、ひぐ………てめ、今の教師に対する暴力」  「こうですか?こうかな?」  「ちょ、やめ、マジでやめろしゃれになんねーから!」  ステヴァンは嬉々として薄汚れた上履きの裏で俺の股間をつつく。  両手で股間を庇って身を丸める、ステヴァンは這い蹲った俺の顔を手挟んで持ち上げる。  「お願いする時はどうするんですか?」  美しいボーイソプラノ。葛藤、逡巡。ステヴァンは俺を試している、いや、おちょくって楽しんでやがる。さっきからずっと体が変だおかしい熱いイってもイッても勃ちっぱなしで少しも萎えない、言う事を聞けばらくにしてもらえるのか……  床に手をつきのろのろと起き上がる。黙って待つステヴァンを憎しみぎらつく目で睨みつけ、生唾を飲んで覚悟を決める。  急いた手つきでステヴァンのズボンを下ろす。ベルトがうるさくがちゃつく。床に跪き、小刻みに震える手で下着をずらしていく。  「んっ」  ステヴァンが呻きをもらす。  むき出しの股間に顔を埋め夢中で舌を使う、むしゃぶりつく。した事はないがされたことは何度もある、そのやりかたをまねて口に含み強弱つけて吸う、淫猥に唾液を捏ねる音が耳につく、青臭く生臭い匂いに吐き気を覚える、喉を圧迫されてえづく。  脈打つ竿へと性急に舌を這わす、鈴口を舌でねぶり唇をおしつけ唾液を塗り広げていく。  「もういいから先生……」  「―あ、あつくてくるしいんだ……体ン中ドロドロで……イ、イきてえ……」  ペニスを頬張りつつ、くぐもった声で呟く。ステヴァンが俺の顔を手挟み、じゃれつくようなキスを額に落とす。  ガマンできねえ。  「欲しい………お前の……」  俺の体はステヴァンがそうあれと望むよう造り替えられている。  何度も何度もそれ自体強烈な媚薬となる体液を注がれて、そのたびステヴァンを貪欲に求めるよう仕向けられる。  すっかり快楽の虜と化し、ステヴァンのズボンを掴んでねだる。ステヴァンが俺の後ろにまわり、ぐっと腰を抱え上げる。  「力抜いて」  「あぐっ」  窄まりに肉が押し入ってくる。痛みは一瞬、すぐにそれは激烈な快楽へと代わる。  挿入が伴う激痛を体内に浸潤した媚薬が中和し、抽送のつど脊髄から脳髄へと稲妻の如く快楽が駆け抜ける。  「あっ、あっ、あっあっあっあっ!」  声を堪えるのを忘れる。死ぬほどほしかったものを漸く与えられ沸騰する細胞が歓喜に咽び泣く。  ステヴァンが深々と楔を打ち込む、快感を増幅する前立腺を突いて突いて突きまくる、俺の体内へと欲望を注ぎながらもう片方の手でだらだら雫を垂れ流すペニスを慰める。  「―やっ、はやくイかせろ、イ、イきてえ、もうっ……もたねーから」  ヨすぎて死ぬんじゃないか。  「後ろすごく締まる……前もぐちゃぐちゃだ。感じまくってるんですね、可愛い」  「あっ、は、ふあっ、ひ、あっあっあああっ!」  どうか誰も来ないように―見られませんように―前立腺を突き上げるペースが上がりラストスパートに入る、ステヴァンの動きに合わせ尻を振る、ステヴァンが俺のうなじに浅く歯を立てる。  「あ」  来る。  鋭利な牙が皮膚に突き立つ。  「――――――――――っっ!!!」  後ろがきつく収縮し中に入ったままのペニスを締め上げ背筋が弓なりに撓う。  「先生!」  ぐったりと突っ伏す俺から分身を抜き、慌てて下着を身につけやってくるステヴァン。  「ごめんなさい、ちょっと吸いすぎちゃったかな?まさか先生がフェラしてくれるなんて思わなくてつい夢中に……大丈夫ですか、保健室行きます?」  なんとか肘をついて上体をおこす。気持ち悪い。貧血で頭がくらくらする。  「ヤッてる最中に吸うとか殺す気かよ……」  ただでさえ最近味見が頻繁になってきたのだ。吸血行為はしばしば依存症になりかねないほどの凄まじい快楽を伴う。セックス中に血を吸われなどしたら絶頂で心臓がとまっちまう可能性だってあるのだ。  だからステヴァンは毎日せっせと鉄分たっぷりの料理を作って与え……  まさか。  「なあステヴァン、ひとつ聞きたいんだが。お前が今日俺にチョコもってきたのって、あれか。フォアグラか」   「どういう意味ですか?」  ぶりっこして小首を傾げるステヴァンに、皺くちゃのシャツに袖を通しつつ疑問をぶつける。  「フォアグラの作り方、狭い場所にガチョウを閉じ込めて栄養たっぷりの餌を漏斗でむりやり与え続ける。そうしてできあがった脂肪肝をおいしく料理したのをグルメが召し上がるわけだ」  つまりは俺にやたらとレバニラを食わせるのもハワイ土産のチョコを与えるのもより美味しく太らせるための餌付けの一環で。  「俺はフォアグラか?」  ずいずいとにじり寄る俺の迫力にたじたじとなり、ステヴァンは「いやだなあ」と笑ってごまかす。  「先生はフォアグラなんて比べ物にならない、僕にとって最高級のご馳走ですよ。最初はまずくて飲めたもんじゃなかった血だってほら、すっかり」  身だしなみを整え立ち上がり、困憊して座り込んだままの俺に手を貸して助け起こす。  教壇に寄りかかってシャツの前をとめながら、反省の色や良心の痛みなどかけらもなく取り澄ましたステヴァンを睨みつける。  「大体どうして俺が女役なんだ、精液を摂取するなら逆の方が効率的じゃねえか」  「抱きたいんですか?」  「生徒に手をだすなんて教師失格、おまけに男じゃねえか!職場で漁んなくても相手にゃ困ってねえよ。ただビジュアル的にもそっちのが自然じゃねえかって思っただけで、」  ボタンひとつとめるのにも手こずる俺を見かね、向かい合うステヴァンが甲斐甲斐しくボタンをはめていく。  「だって僕男ですよ?」  「俺も男だよ!!!」  「や、知ってますけど。攻める方が性にあってるというか燃えるというか、吸血鬼が襲われる側にまわるなんて笑い話にもならないじゃないですか。確かに摂取の観点から見れば女役の方が都合いいけど……」  仕上げにネクタイを締めて、極端に顔を近付け囁く。  「僕はね、実のところ結構本気で先生が気に入っちゃってるんです。先生が上げる可愛い喘ぎ声やイく時の泣き顔、ねちっこく攻められていじめられてなにがなんだかわかんなくなってる顔が大好きなんです」  新しくできた首筋の傷がひりつく。ステヴァンが衣擦れの音たて詰め寄る。  後ろ手で教壇を掴み、目にちらつく怯えを悟られぬよう精一杯顔を背ける。  血がこびりついた噛み傷を指の背でそっとなで、唇をついばむ。  「その顔、すごくそそるな……」  「やめろ……教室だぞ」  「さっきまでもっとすごいことしてたじゃないですか」  魔性のフェロモンをまきちらしつつ迫り来る脅威にたじろぐ。せっかく身につけたシャツを再び毟り取られる恐怖からへっぴり腰で逃げ、窓際のカーテンにくるまって絶叫する。  「もういいだろ、気がすんだろ、たっぷり血を吸って満足したろ!?補習する気がねえなら帰れよ、ヤる気のねえ生徒に付き合って時間を潰したくない!」  「だけど先生、さっきは随分乱れてたじゃないですか。跪いてフェラまでしたくせに」  「あれはお前が薬を盛ったから、」  「嘘ですよ?」  「……なんだと?」  外人っぽいジェスチャーで大袈裟に肩を竦め、箱から一個つまんでいやらしくしゃぶる。  「でまかせです。いくらぼくだってお土産のチョコに異物混入したりしませんよ。まさか真に受けたんですか?ほんっと暗示にかかりやすいタイプですね」  「いや……待て、嘘だろ?じゃあなんで俺」  「それはですね、先生が天然のド淫乱だからです」  言い返そうにもさっき俺がめちゃくちゃ発情してたのは事実で、だけどあれが薬のせいじゃねえとしたら感じて乱れまくったのって何で、そもそも淫魔の体液には媚薬作用があるからしてそれを慢性的に摂取してりゃ淫乱になっちまってもしかたね  「お前のせいじゃん!!!」  「責任はとります」  カーテンに包まってしっしっと牽制する俺へ歩み寄るや、いきなり抱き寄せ唇をつけ狙うステヴァンをこづきまわす。  「さっきさんざんやったのにまだ足りないのか、絶倫だな!」  「暴れないでくださいよ、いてっ、先生っていつもそうだ往生際悪いんだから、この頃わざと残業でうちに帰るの遅らせてるでしょ、せっかく料理作っても冷めちゃって……先生とふたりっきりになりたくてわざと赤点とったのに」  ステヴァンが口走った聞き捨てならない台詞にハッとする。抵抗が止んだ隙をつき、ステヴァンがすかさず抱きついてくる。  「そんなにいやですか、ぼくにつきまとわれるの」  「当たり前だろ、吸血鬼なんか」  「こんなに気持ちよくしてあげてるのに」  ダメだ耳を貸すなほだされるな、相手は吸血鬼だぞ。ステヴァンとふたりしてカーテンに隠れ揉み合う。  ステヴァンが俺の両手を掴んで顔の横にはりつける。  「お前は生徒で、俺は先生で、学校でこういうことするのは生活指導的に間違ってるんだよ……」  語尾が弱弱しく萎む。いまさらそんな建前をもちだしたところで、既成事実を作っちまったんじゃ説得力ねえ。  案の定ステファンは苦笑し、俺の顔を包んで起こすや、光の加減で黄金に輝く目を細めて微笑する。  「僕は吸血鬼、あなたそれに魅入られた獲物。こうなるのは正しいでしょう」  唇が迫りつつある。カーテンを後ろ手に握り締め、きつく目を瞑る。  重ねた唇を蜂を誘う雌しべのようにくねる舌でもってこじ開け―      教室の引き戸が開け放たれる。  「!!」  反射的にステヴァンをひっぺがす。  「何をなさってるんですか小山内先生」  「中世フランスにおける女性のファッションの流行を参考までにステヴァンに教えてたんです。いいかよく聞けステヴァン、ベルサイユ宮殿に出入りする貴族のご婦人方のあいだじゃこうやって肩にストール巻くのが流行ってたんだ。裾がひらひらそよいで優雅だろ?こいつを連れの男にもたせてしずしず入廷するのが一種のステータスとして認知されてたんだ」  カーテンの切れ端をまとって肩に巻きつけのべつまくなしにまくしたてる。  引き戸の前に敢然と立つ女教師―職寝室のお局として恐れられる萩尾女史。  「そろそろ下校時刻です。補習は適当に切り上げて帰られてはいかがです?」  鋭角的な眼鏡をくいと押し上げ注意する。タイミングよく、教室内に設置されたスピーカーから最終下校時刻を告げるチャイムが鳴り響く。助かった。危なくながされちまうとこだった。  「そうします、即帰ります。ステヴァンお前も寄り道せずまっすぐ帰れよ、家でちゃんと勉強やっとけ、夜間徘徊は校則違反だからな」  言うだけ言って後も見ず駆け出す。教壇にとってかえして鞄と背広をひったくり、廊下に立つ萩尾に会釈し、階段を駆け下りて職員室玄関から転がりでる。  夕日に染まる校庭では野球部の連中が球拾いをしている。  危なかった本当に。萩尾先生が乱入してこなかったらどうなっていたか、ステヴァンに言いくるめられてまんまと……  無意識にポケットをさぐるも求めた感触を得られず、夕焼け空を仰いでたそがれる。  「あーくそ、煙草吸いてえ……」  「先生!」  ガラッと二階の窓が開き、教室から顔を出したステヴァンが叫ぶ。  「忘れ物です」  そう言ってなにかを投げる。  長大な放物線を描いて落下したそれは、たまたま上を向いていた俺の口にクリーンヒット。  「………甘い」  「最後の一個です」  おもわずまるごと飲み込んでしまう。もうちょっと味わいたかったのに畜生……ああ、すっかり餌づけられちまってる。  「鯉か俺は!食べ物を投げるな」  無邪気に笑うステヴァンがむかっぱらがたつ。  教室に駆けもどって頭をひっぱたいてやろうと思ったが自重し、校庭を突っ切って駐車場へ向かえば、どこからか飛んできた蝙蝠がちょこんと肩にとまる。指パッチンでステヴァンが生み出したしもべ。  「フォアグラ、フォアグラ、フォアグラ」  「口きけんのかよ」  しかもフォアグラって……絞め殺してやろうか。しゃべる蝙蝠を追い払おうとして、次の瞬間硬直。  「ステヴァン、フォアグラスキ」  「え」  車にキーをさした姿勢で凍りつく。  蝙蝠がぱっと飛び立ち、空高く舞い上がり霧散する。  おそらくステヴァンが伝言を頼んだのだろうその意味を考えつつ、しつこく唇をなめてチョコの後味を反芻する。  「………小山内先生だっつの」     喜ぶべきか哀しむべきか、俺は非常食よりはちょっとだけ上等な存在として吸血鬼に認知されてるようだ。   とりあえず喜んでおくか。 

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