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第11話  会えなくなる…?

…、あれ? 今週はまだ来てないのかな?曜日は間違ってないはず。 先輩たちの何人かも、その辺を妙にウロウロしている。 だけど、紫音が、まだ来てない。なにか用事が出来たのかな。 「…あ、おいおいケイ、あのガキ、今日は来ないのか?」 あぁ、誰も紫音に連絡が取れないから、行方がわからないのか。高校も教えてないはずだし。俺も連絡は来ていない。 「なんだよー、またあのケツでスッキリしようと思ってたのによぉ。」 「俺も他の処理方法なんて無いから、困るんだよなあ。今更女をゲットも出来ねぇし。」 などなど、紫音の存在が無くなって、…寂しがってる、じゃないなあ。おもちゃが無くなった感覚でみんな口にしてるけど。  実は、その様子を見ていた俺も、先輩と同じような気持ちになっている。おもちゃが無くなった感覚にそっくり。 申し訳ないけど、とっても気になるっていう感覚じゃないんだよな。『じゃあ次のを』って言いたくなるような。でもそれって、あの先輩たちと同じと思われるよ。 その自分の気持ちに気がついたとき、この前調べた花のことがリンクした。紫音が思い草で、『茅』野(本当は難しい字の『萱』野)の俺は忘れ草…? ハッと気がついて、先輩に注意を払いつつ、周りに人が来ないところまで移動した。そしてスマホを出すと、LINEを起動。 紫音と同じ学校の女の子、ミィちゃんに送ってみた。 そして送信ボタンを押し終わった後で気がついた。あぁっいまお昼過ぎ。学校だと授業中だ。ありゃりゃ、マズいタイミングで出しちゃっ『ピロン』あ、あれ?ミイちゃんの返信だ?? ”なんかあった?” えっ?なんでこの時間で返せるんだ? ”いま家にいるのよw” あれ、学校って今日休みだっけ? ”わたしね、退学になるかも” は??なんで?? ”わたしって、よく乱交してたでしょ?” ”そのときの写真見たでしょ?” ”あの時かいつかはわからないんだけど、学校の先生にバレたんだって。その時の画像か動画見られたらしいの。それで今日からしばらく休んでるのw” えぇ??でもそれじゃ他の子たちもまさか? ”私は朝の学校に行く前に、家に直接電話がかかってきたから” ”他の子たちにLINEしたら、画像撮られた子で顔が判る子に連絡が行ったみたい” ”顔写ってない子は、一応連絡が無かったから学校に行ってるって” ”で、学校の中の様子聞いたけど、一応静かみたい。噂は聞いてないって。” そっかぁ…他の子はどうしてるのかな? ”シオンくんも学校行ってないって” え、紫音も? ”シオンくんはあの下着が派手だったし、男の人に犯されてるし、学校の先生ももう家に行ってなんか言われたらしいよ〜” ”って、シオンの漢字知ってたの?” あ、しまった。フツーに漢字のままで送っちゃった。 ”あたし、初めて見た。シオンくんの名前の漢字。難しいねw” なんだ、みんなも知らなかったんだ。…っていうことは、俺だけに教えてくれたのかな? ”シオンくん、ケイさんのこと、すっごい好きだって言ってたもん。あたしたちにもふつうに話してたから” そっか…紫音くん、そんなに俺のこと… ”ねえねえ、会わない?会って話しない?あたし、ケイさんに会いたいな” え、だって先生も来るんだろ? ”うちはもう先生来たから。もういいよ。” いやダメだろ。いくらビッチでも、今日くらいは。 ”親がねえ” ……、親? ”出ていけって言ってる。だから家を出ようかと思って。” あー、そうなのか。そういうことか。 ”だから責任取って。わたしね、妊娠しちゃったの。親にはまだナイショ” え?…えぇぇー? ”今から行く?まだ大学?” ちょ、ちょっと待ってくれよ。今日はもう少し講義あるんだよ。 ”さっきシオンくんとも連絡取れたから、一緒に行くよ” あ、…じゃなくて…、え…っと…、どうする?  そして午後。キャンパスで教授の話を、聞いていたと思ったんだけど、今日はぜんぜん耳に入ってこない。 紫音に会えなかった、ミィちゃんからのカミングアウト、そして俺にも関係しているかもしれない画像の流出。 講義が終わったけど、それでも頭の中の整理が付かなくて、少しぼーっとしてたら、 「なあ、茅野?」 同じゼミの人が声をかけてきた。久しぶりに名字を言われたような気がした。 「いま、ちょーっと時間いいか?ここでいいんだけど。」 見渡すと、もう周りには俺たちしか残っていなかった。 「あれから、まだあのサークルに行ってるのか?」 思い出した。始めに乱交に誘われた時の、俺と一緒に行ったヤツだった。コイツはあの日以来、あのサークルに来てないし、先輩たちとも会っていない。 「俺も一度経験したから関係者になってるから、あんまり深追いしたくないし、秘密は守るよ。お前のことも黙秘するつもりだけど。」 ん?なんだ?何が言いたいんだ? 「これ、お前だろ?」 と、スマホの画面を見せてきた。手足を拘束されて大の字になっている素っ裸の男の上に、女の子がこちらも素っ裸で絡み合っている。どう見ても、あの挿入時の最中の写真だ。とにかくビックリ。それしかない。 「お前の顔は、ちょうど女の子に隠れてるから見えてないだけだけど。でも間違いないよな。同じ格好した僕じゃないから、間違いなく茅野だろ。」 この画像、どこで出てた?俺、このアングルは見たこと無いぞ。 「そこか?w。ポイント違うだろw。まぁ、ネットに挙がってたんだよ。投稿サイトだったから、一応管理者に取り消し申請してきたけど。」 そうか、高校で問題になってるのは、この画像か。 コイツの入手した画像を見せてもらうと、8枚出ていたようだ。そして紫音の画像も、顔出し下着姿の綺麗な全身画像が1枚あった。でも、お前もよく見つけてきたな。 「…、こういうのは得意なんだよ。」 って、マニアだったのか?w 「失敬な。収集家だ。」 おんなじことじゃねえかw。 「ハードディスクに2つ分しか持ってないぞ。」 何GB持ってるんだよ(瞬時に『テラだ』ってコイツの指摘が入った)。コレクターの域を超えてるぞ。 「だって動画もあるんだもん。すぐいっぱいになるのは仕方がないことだ。」 それにしても、こんな身近に、情報収集の人間がいたなんてなあ。 「まあ、そんな訳で、僕が言いたいのは、こんな画像のことじゃない。お前の恋愛ってどうなのか、ということが聞きたかったんだ。あれからずっと不特定多数とエッチしてるのって、僕は性に合わない。だからあのサークルと離れた。でもお前はまだヤッてるんだな?」 あ、まあ、(紫音とかミィちゃんとか、)今でもセックスしてるからなあ。 「僕は人の恋愛に口出すつもりはないし、キャンパス内であの男の子連れ込んでセックスしてるのも知ってる。ちょっと見えたからな。」 あ、…あぁー、そうなのか。 「僕も、男相手に欲情する趣味ってのは、わからんでもない。あの男の子は、よかったから。あれは癖になるよ。でも、モラルとか世間体とか考えたとき、世の中ってまだまだ厳しいぞ。これが異性の恋人1人だけだったら、まだ圧は少ないのかもしれないけど。」 そ。そこなんだよな。俺もこういう感覚で付き合うのは初めてだったし、そもそも男の子とも付き合う人なんて今回が初めてなんだ。たまたま数人と同時に合意したってだけで。 「付き合ってるんだな?」 …、そうだ。 「何人と?」 2人だな。(うん、ふたりだ。それ以外の子は1回だけだったし。) 「その人、いま、どうなってる?」 …もしかして、お前も知ってるのか? 「学校に行ってないって、今朝連絡があってさ。」 …そうか。 「僕も、あとで会いに行くけど、ちょっとした問題になるだろうな。相手は未成年だし。」 …、…なあ、 「なに?」 お前は付き合ったのか? 「1人だけだよ。選んだから。」 お前もかよww。

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