12 / 13
第12話 結末は、違和感あり
とりあえず、こんな話、外じゃ出来ないからということで、結局ウチのアパートに連れてきた。
ミイちゃんと、途中で合流できた紫音くんと。
部屋に入るなり、それじゃと早速服を脱ぎだす2人。ちょいと待てっ。
「冗談冗談。僕だってそこまでビッチじゃないよ。」
どう見たってやる気満々だったじゃねぇか。
えーと、とりあえず気を取り直そう。まず、今、どういう状況にあるの?
「SNSに、私達の乱交の写真が挙がっていた、というのが、事の発端だったのよね。それを、学校の人かな、先生かな。その写真が知ってる顔だということで、投稿者に問い合わせちゃったらしいのね。」
「その人がブロックして画像も消してくれたらしいんだけど、何枚かが後で出回ったということ、だそうです。それが先月の話。」
そうか。さっきのスマホの画面は、その時に手に入れた画像を、違う人が再投稿したんだな。
「そして先生に伝わったらしいんだけど、そこで教頭先生に喋っちゃったらしいんですって。黙ってくれたらよかったのに。」
「初めは、その当事者だけで話を聞いてた、んだそうです。その一番最初がミィちゃんだったんですけど。」
「そこから、学校がうちの親に連絡入れちゃったんですよ。そこでいきなり話が大きくなっちゃって、今日の出来事に。だからうちの親が悪いんです。今朝も出てけって言われたから、出てきたの。」
「僕の画像もけっこう見られたので…、あ、僕とケイさんのセックスも写ってます。」
ぶっ!ケホケホ…。まあ、そうなるよな。
コホン。そ、そしたら。今後はどうするつもりだい?
「あたしは、ここでお世話になります。よろしくお願いします。」
いやいや、三つ指ついて頭下げられて、この状況だと断れないだろ。
「僕も親に連絡行ってたようです。今朝父さんから一言二言聞かれて。そしたら『そっか』くらいしか言われてないんですよね。」
紫音の家庭も、なんか特別なのか?そこまで寛容なのかなあ。
「ウチも、父親と二人暮らしです。母さんは随分前に出てっちゃったから。だからセックスについては、それほどうるさくないです。」
あ、あー、そうなのか。えーっと、どうしよう。高校はどうするつもりなの?
「辞めるわ。」
「辞めます。」
あっさりしてるなー。まぁ、たしかに行ける状況じゃないけどさ。
「あたしはもう、体で稼いでいくわよ。セックスしてお金稼ぐ。」
ぅおい。
「僕は、前々から父さんの仕事を手伝っていたので、それで自宅で働きます。父さんもそれで行こうって言ってくれました。」
自宅で、親と一緒の…。そうかぁ働けるのかあ。そうしたら、俺ん家はどういうことになるんだろうな?
「僕もミィちゃんが好きですよ。だったら一緒に住んで家族になるのも良いんじゃないですか?」
か、家族かぁ?ミィちゃんにも前に同じようなこと言われたけど、どうなんだろう。紫音とは結婚出来ないから、ミィちゃんと結婚…、まぁそれはいいとして、紫音はミィちゃんの兄ということになるのか?ちょ、ちょっと、なぁ…
「法律上・戸籍での話ですけど、僕らを養子にするという方法もあります。ケイさんが親として、1歳でも歳下だと『養子』という立場になるんですよ。」
えっと…よくそういう知識知ってるなあ。とにかく、俺と一緒に住みたいということなんだな。
「そういう形だったら、ケイさんも今のまんまで生活が続きそうですよね。」
今のまんま…って、大学も、乱交とかも、ということか?うーん、俺はそういうのそこまで気にしないからいいけど…、でも…
「あぁ、僕はこの乱交以外にもパパが数人いるので、たぶんセックス生活は止められないと思います。先に言っておきますね。こういうのが嫌だったらアレですけど。」
え、あ、そうか、紫音ってビッチだもんな。パパ活やってるのかあ。ふーん…
「あ、たしかミィちゃんも、なんかやってるみたい。詳しくは聞かなかったけど、数人いるみたいですよ。ねっ。」
「あ、あたしも、いまは言えないけど、ちょっとツテもありますよ。」
ぉぃぉぃ。最近の若い子はぁぁ〜。…って、なに、もしかしてもう多少の稼ぎとかあるの?
「私は、乱交のいつものお客さんがいるんで、その関係の人がいますね。でもそれほど多くないですよ。」
「僕ですか?僕はもらってるのはそんなに多くなくて…、一番多いときで月に5万円くらいかな。」
なんだ?なんでそんなに貰ってるんだ?売春って稼げるのか?
「僕は、セックスして稼ぐのは全然ないんですけど、仕事の方が収入あるかなあ。裁判所の資料を作ったりしています…」
ナニソレ??はぁぁ?ちょっと待て。紫音って高校生だよなあ??
「うちの親、裁判所に勤めてるんですよ。えっと、弁護士でもなく、裁判官でもなく。普通の事務官ですが。そこの、裁判の資料作りです。」
…なんか、大学生の俺より、先が見えてるんだなあ。…大学行かなくても、やっていけるんじゃないか。
そうそうそれと。もう一つ気になってるのが、そのネットの画像なんだけど、それはなんか考えてるのかい?どうするつもり?
「僕は、親から別に何も言われないから、平気ですよ。なんかあったら対処するし。」
対処って、ネットの画像は消せないんでしょ?あちこちに保存されてるんだろ?全部消すのは不可能だって言ってるし。
「べつに気にしなけりゃいい話だと思うわ。世界では、毎日6億枚の画像がアップロードされてるんですって。古いものはどんどん埋もれていくだけです。それに後でそのネタ言われたら『なんで知ってるの?あんたそれ見たの?』って言ってやればいいんじゃないかしら。」
「そうですね。裁判のツテがあるから、立場が悪くなりそうだったら、裁判を起こしますよ。そこの結果って絶対ですから。」
強いな…、この子たち…。
ともだちにシェアしよう!