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第8話
「行ってらっしゃい」
「恭平さんも」
車から降りようとドアに掛けた手と反対の手を引かれ、振り向くと恭平さんにキスをされた
校門前で、と慌てたが恭平さんの車の窓にはスモークが貼られていたことを思い出し目を閉じてキスを受け入れる
優しく啄むようなキスだったが、唇を舐められ素直に口を開くと熱い舌が口の中に入り込み隅々まで舐められ唾液を飲み込まされた
「また連絡するね」
名残惜しそうに頬を撫でる恭平さんに笑い返し、今度こそ車を降りる
やはり恭平さんは俺が校舎に入るまで車を進めず見守ってくれていた
「おいおい!あの車前のイケメンのだろ?」
「いつの間に彼氏変わったん?」
友人にそう声を掛けられ、笑みを返す
その後も根掘り葉掘り聞かれたが、口を割らずに居ると不満そうな顔をしながらも話題を変えてくれた
「うげ、すごい痕。愛されてんねえ」
「新しい彼氏は激しいな」
授業を把握していなかった俺が悪いが、今日は体育の授業があり恭平さんが制服に隠れるように付けてくれていた痕をクラスメイトに見られることになった
自惚れでなく、恭平さんは俺のことを愛してくれる
それは普段の俺への接し方からも伝わるし、セックスの度に付けられる印の量からも感じられる
全身隈なく付けられた痕を、着替え終わった友人が数えるのを頭を叩いて止めさせ急いで体操着に着替えた
「アレク、彼氏」
最後の授業が終わり、今日は部活がないと言う友人と何処かに遊びに行こうと下駄箱で靴を履き替えていたところでそう告げられる
友人が指差す方を見ると、恭平さんは以前と同じように車に寄り掛かり俺のことを待っていた
「恭平さん」
「お疲れ様、アルくん。仕事が早く終わってさ、連絡もなしに来てごめんね」
「ううん。嬉しいんだけど…」
「ども、彼氏さん」
「イケメンっすね」
友人が会話に加わってきて顔を顰める
恭平さんと友人を関わらせる気はなかったのに
「アルくんの友達?」
「そうでーす。アレク、彼氏さんのこと全然話してくれなくて」
慌てる俺を他所に恭平さんと友人は和やかに会話を繰り広げている
「もしかして皆で遊びに行くの?」
「そのつもりですけど、アレクはデート優先でしょ」
「はは、俺はいつでも良いからアルくんも仲間入れてあげて。駅前までで良いなら送るよ」
「まじすか!」
いつの間にやら恭平さんが俺と友人を駅まで送ってくれることになったらしい
俺は友人に助手席に押し込まれ、友人は後部座席に乗り込んだ
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