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3.
綺麗に洗髪され、丁寧に洗われる身体。
あのぉ、それ位自分で出来るんで、ていうか自分でさせて下さい。
「いえ、これも仕事ですから」
とか言いながら鼻血垂らすのは止めてくれ。気持ち悪いから。
ドン引きですよマジで。
「やっぱり仕上げは手ですよね?」
はぁ?
って、ちょっ、鼻息荒くね!?
「隅々迄洗って差し上げますから」
う~ん、折角美形なのにスッゲェ勿体ないぞこの人。
中身変態じゃんか。
突然近付いた綺麗な顔。
頬に触られ
「触んな変態」
バキィーーーッ、思いっきり顔面を殴った。
あ~スッキリした。
「痛いじゃないですか」
って、復活早っ!?
頬赤くなってないし、魔法使いはスグ回復出来んのか?
「暴れられたら洗えませんので魔法使いますね?」
は!?
「チチンプイプイ」
それヤバいだろ。
その呪文お前の頭ん中疑うぞ。
「じゃ、ビビデバビデブゥ?」
いえ、それもちょっと嫌。
「ならチチンプイプイで」
って、気に入ってんのか?ソレ。
ていうかアウトじゃね?色々な意味で。
ん、あれ?
身体動かないぞ。
変な掛け声と共に動かなくなった身体。
「さぁ綺麗にしましょうね」
上機嫌に微笑まれた。
えっ、コレ、俺今スッゲェピンチじゃね???
「ちょっ、待て、頼むから待てって」
「ゆっくりしてたら舞踏会始まっちゃいますので黙ってて下さいね?」
ニッコリ微笑まれ、触られた身体。
うぎゃぁあぁああっ!!
コイツ絶対悪い魔法使いだぁっっ。
その後
「ひぁっ、ちょっ、何処触ってんだよ」
スッゲェヤラシイ手付きで上半身を洗われた俺。
「次は此所と此所ですね?」
怪しげな笑みを浮かべられ
『マジで?』
真っ青になった。
が
「あっ残念。時間ないんで簡単で良いですね?」
どうやら助かった様子。
ふぅ、今日が[ぶとうかい]当日で良かったよ。
でなかったら絶対変な事されてた。
って、男同士のやり方なんて知らないがな。
「次は着替えですね」
浴室から出て身体を拭かれた俺。
まだ先程の変な呪文のせいで身体動かないから変な感じ。
「チチンプイプイ」
って、又ソレかよ。
ボンッッ。
うっわ、ちょっ、何?
今爆発したぞ。
可愛らしいステッキを向けられた途端聞こえた爆発音。
モクモク煙に包まれた。
ケホケホケホッ、なんか煙たい。
「おおっ、流石シンデレラ。元が良いと何でも似合いますね」
って、おい。
何着せるんだお前。
何故か目の前に現れた大きな鏡。
それに映っていたのは白無垢を着た俺だった。
ほんっとコイツ頭大丈夫か?
「あっ、嫌でしたか。なら、チチンプイプイ」
ポンッ。
って、お前舐めてんのか?
次になったのは純白のウェディングドレス。
眩暈がしそうだ。
「コレは本気で違うと思う」
溜め息を吐くと
「仕方ありませんね。これで最後ですよ?チチンプイプイ」
溜め息を吐かれながらステッキを振られた。
って、ちょっと待て。
何?その、俺が我儘言って着替えさせた流れ。
お前が変なのばかり着せるから悪いんだろ?
俺は悪くない。
「やはりコレですね」
ウットリしながら微笑まれ鏡を見ると
「だぁ~かぁ~らぁ~さぁ、なんでさっきから全部女装なんだよ!?」
淡くて綺麗な水色のドレスを着た俺が居た。
なんか全体的にキラキラしているし、スッゲェ恥ずかしい。
「他のが良い」
「いえ、スッゴク似合ってますよ」
んなの嬉しくないわぁっっ。
男が女装似合ってもキモいだけなんだ。
それ位分かれよバカ。
「あれ?知らないんですかシンデレラ」
ん!?何をだ。
「舞踏会の正式な服装はコレなんですよ」
はぁ?マジでか。
「皆さん全員このような姿をされますよ」
え~?マジで?
あっ、そういえばプロレスとかではマスクしたりして変装するヤツ居るよな。
コレも変装の一種なのかな?
それに皆こんな格好するんなら、俺がしても違和感ない?
「御理解頂けましたか?」
「あっ、うん。よく分かんねぇけど、コレが正式なら我慢する」
[ぶとうかい]行きたいし、仕方ないよな。
この際妥協するか。
「ならチチンプイプイ」
って、お前ソレ好きだな。
ポポポン。
「うわっ、何コレ?」
鏡に映るは完全なる女。
可愛らしい化粧をされ、綺麗なドレスを着ている。
硝子の靴だしさ、全体的に金掛かってね?
「本当はカボチャの馬車と思ったんですが、流石にソレは目立ち過ぎるので、私が御見送り致します」
って、
「うっぎゃあぁあああーっ」
普通に送ってくれぇっっ。
ザワザワザワザワ煩い広間。
「それでは私は失礼させて頂きます」
スゥーッと消えた魔法使い。
おい、せめて車にしてくれよ。
ざわついている広間の原因、ソレは俺。
魔法使いが箒に俺を乗せて此所迄送り届けてくれたからだ。
魔法なんて非科学的な物堂々と披露すんなよ魔法使い。
スッゲェ注目されてんじゃん俺。
マジ帰りたいよ今。
じゃなくて、[ぶとうかい]もう始まってんだよな?
受付って何処ですんのかな?
取り敢えずエントリーしようっと。
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