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「すみません。招待状とか持ってないんですが、飛び込みで参加とか出来ますか?」 取り敢えず近くの人に聞いてみる。 なんか背ぇ高かったし、偉そうな雰囲気出てるし、ビシッとした身なりをしていたから 「ああ。君みたいな子なら大歓迎だよ」 城の関係者かと思ったんだ。 読みが当たったのかふわり微笑まれ 「良かった」 安心した。 で、今は一体どんな格闘がされてるんだろう? 見渡してみるが皆立食しながら賑わっているばかりで、誰も闘っていない。 今は休憩中なのだろうか? にしても 『う~ん???』 先程から周囲の目線が痛い。 やはり女装が浮いてるのだろうか。 それとも招待状なしで来たせいか。 って、あ~。最初の登場が悪かったせいだな。 魔法使いの馬鹿野郎。 仕方ない、皆休憩してんなら俺も何か飲んでやる。 くるり部屋の中を一望すると、どうやらセルフサービスらしい。 遠慮なしに食べる事にした。 ていうか、うっわ、何コレ? マジ美味しいし。 初めて見るのや高そうな料理が沢山あり 『ヤッベェ~。タッパ持ってくりゃ良かったよ』 直ぐさま持ち帰りの事を考えてしまった俺。 その直後 『作り方教えて貰うか?』 と流れる思考。 これじゃ完全主婦じゃんか。 様々な意味で可哀相だ。 少し落胆しつつ美味しい料理を愛でた。 が、余りの美味しさに 『う~ん、幸せ』 本来の目的を忘れてしまった。 パクパク上機嫌に食べる俺。 まるで食べ放題にでも来た気分だ。 無料でコレって最高じゃね? 毎日料理してるばかりだから余計食すだけの行為は楽で幸せなのだ。 取り敢えず一通り気になる料理を全て食べ、デザートに移った俺。 高そうなプリンを一口含み 『くぅ~っ。コレ最高』 蕩けた瞬間 『ん?』 物凄い目線を感じた。 なんだよ。なんか文句あるのか? 穴が開きそうな位、真っ赤な顔で凝視される顔。 『何か付いてんのか』 首を傾げると 『どうしたんだろう?』 数人の男性が前屈みになった。 『う~ん、流石に食べ過ぎたか?でも知らない奴だし気にしなくて良いか』 目線を外し、再び食事を始めた。 瞬間 [シンデレラ] 耳元で聞こえた声。 『ん?』 コレは先程別れたばかりの変人の声だ。 一体何処から聞こえるのだろう。 [何さっきから食べてばっかりしてんですか。太りますよ。あと此所は食べ放題じゃないんですよ?] って、何処だ? [耳です。ピアスにマイク付いてるんですよ] へぇ~ピアスにマイクね。 プライバシーの侵害だからさ、捨てて良い? [すみません。せめて舞踏会が終わる迄はそのままにしておいて下さい] どうやら距離が離れても心の声が読めるのは変わらないらしい。 スッゲェ最悪だが、こういう状況では便利かもしれない。 小声だろうがイチイチ返事してたらボソボソ独り言を呟く寂しい奴にしか見えないからだ。 [シンデレラ。多分もうすぐ王子が現れますから気合い入れて下さいね] えっ、そうなのか? 俺王子に逢って、王子を倒すんだった。 ハイスピードで食事を終わらせ口元を拭き 『マジ緊張する』 ジュースを飲み、心を落ち着かせた。 ドキドキ高鳴る胸。 一番強いって事は怖い人なのかな。 俺、勝てるかなぁ? 「皆様お待たせ致しました」 一瞬暗くなった照明。 直ぐさまスポットライトがある一点に集まり 「はじめまして」 一人の男が現れた。 無駄にキラキラしていてまるで外国の王子様みたいだ。 「皆様、本日は御集まり頂きありがとうございます。本城家の当主・本城奏です」 ふわり微笑んだ途端 「キャァーーー」 「王子ぃ」 「奏様ぁーー」 聞こえた女の子達の黄色い声援。 「皆様ゆっくり楽しんで下さいね?」 王子が微笑む度喜ぶ女の子達。 最初はその光景が珍しくて楽しかったが、途中で飽きた。 『お腹いっぱいになったしさ、帰るか』 「すみません。タッパ」下さい。そう言い掛けた瞬間 [持ち帰りは止めろ。貧乏臭いから] 耳に入った声。 スッゴイ馬鹿にした様に聞こえたのは気のせいか? [シンデレラ。今君、帰ろうとしなかった?] え、ダメなの? お腹いっぱいになったし良いじゃん。 [て、良くありません。王子に逢いに来たんでしょ?] あ~そういえばそうでしたね。 なんか面倒臭ぁ。 [怒りますよ?] 分かったよ。 行きゃあ良いんだろ? 渋々王子が居ると思われる場所に近付く。 が、ハーレムになっていて近付けない。 「すみません。通して下さい」 無理矢理掻き分け近付くと 『あれ?』 パチリ目が合ったのは見慣れた姿。 『なんで?』 流れ的にハーレムの中心は王子な筈なのに 『孝治達じゃんか』 何故かソコに居たのは義理の兄と父。 『王子は一体何処に行った?』 って、うっわ、存在感薄っっ。 発見した王子はポツン寂しく壁際に立っていた。 目立たないなぁ、おい。

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