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「はぁ~い、今開けます」 カチャリ開けると 「こんばんは、シンデレラ」 ソコに居たのは 「え!?」 何故か王子でした。 って、何故ぇ!? 取り敢えず客間に招き、紅茶を入れ 「どうぞ」 ソファーに座る王子の前に差し出した。 「ありがとう」 う~ん。何故王子此処に居るんだ? そう思っていたのは俺だけではなかったらしく 「「なんで来たんだ?」」 孝治と快治がハモった。 あれ?英治は? 客間に居るのは俺と王子と孝治と快治。 いつも居る筈の英治が居ない。 キョロキョロしていると 「アイツは今調教中だから来ねぇよ」 小さく孝治に耳打ちされた。 えっと、よく分からないけれど、魔法使い可哀相に。 英治に苛められてんだね。 てか何されてるんだろう? マジ怖いから、ていうか未知の世界だから追求しないでおこう。 聞いたらお前もされたい?とか聞かれそうだし絶対される。 うっ、考えただけで怖いよ。 「本日は忘れ物を届けに参りました」 忘れ物? 「硝子の靴1足落とされたでしょ?」 あっ、やっぱ落としてたんだソレ。 良かったぁ。無くしたとばかり思ってたよ。 「なぁ、本城。なんでお前ソレがコイツのって分かった?」 本城? あっ、王子名字本城だったよ。忘れてた。 「名前と電話番号書いてありましたから」 「「オイ」」 え!? 「なんで靴にそんなん書いてんだよ?」 「お前は幼稚園児か?」 なんだよ?書いちゃダメなのか? 「だって、持ち物には名前書かなきゃダメなんだろ?他の人と間違えちゃダメだしさ」 「「バカか?」」 え? なんで孝治と快治溜め息吐いてんだ? 「持ち物にイチイチ名前書くのは小学生迄なんだよ」 そうだったのか。 「あの~」 あっ、悪い、王子。 存在忘れてたよ。 「コチラ御返し致します」 「あっ、わざわざすみません。ありがとうございます」 渡される物凄く綺麗な箱。 中には綺麗に磨かれた硝子の靴が入っていた。 「シンデレラ」 ん? 「先日開いたパーティーは私の婚約者を探す物でした」 うん、なんかそうらしいな。 で? 「私はその日ある方に心を奪われました」 へぇ~。それは良かったな。王子も婚約か? 「その方の名前はシンデレラです」 ふぅ~ん。シンデレラね。 シンデレラ。 って、俺!?!?!? 「シンデレラ。どうか、私の婚約者になってくれませんか?」 はい!? 「絶対幸せにします。一生涯貴方だけを愛します」 はぁあ!? 「私と結婚して下さい」 む、む、む、無理ぃーーーーーーっっ!! ちょっと王子頼むから目ぇ覚まして??? 「すみません。考え直して下さい」 ペコリ下げた頭。 が 「私と結婚して下さったら毎日三食昼寝付き贅沢三昧ですよ?」 『え?』 物凄く魅力的なセリフに目を輝かせた。 「デザートは?」 「勿論好きな時に好きなだけ用意致しますよ」 『マジ?』 爽やかな笑みを向けられ 「するっ!!結婚するっっ」 即答すると 「「馬鹿かお前は」」 突っ込まれた。 「本当ですか?なら今すぐ披露宴の用意をしましょう」 「「ちょっと待て」」 ん? 「オイ、シンデレラ。お前三食昼寝付きに釣られて結婚すんのか?」 悪いかよ? 「本城悪いけどさ、コイツ俺のなんだわ」 はい? 「コレ我が家の所有物だからさ、勝手に持ち出し止めてくんない?」 はぁ!? 2人共何言ってんの? 折角王子が城に招待してくれてんだからさ、好意に甘えようよ。 毎日三食昼寝付き贅沢三昧なんだよ? 出産無理だから子育てもないしさ。 スッゲェ楽に過ごせそうじゃん? マジ美味し過ぎる話じゃんか。 まぁ、王子への恋愛感情は一切持ち合わせてないけどさ、一緒に居たら好きになるかもしんないし、スッゲェ良い話だぞ。 「シンデレラは物ではありません。人には幸せになる権利があります。勿論、彼女にも。なのでシンデレラは私が幸せにします」 おぉ~、王子良い事言うじゃんか。見直したぞ。 でも幸せは俺自身が掴み取る物で、誰かに与えられる物じゃあないぞ? 「さぁシンデレラ。私と共に参りましょう」 差し延べられた手。 デザート食べ放題な贅沢三昧に釣られた俺は 「はい」 笑顔で王子の手を取った。 乗せられた馬車、ではなく豪華な外車。 隣にはキラキラした未来の旦那様。 握られた手を握り返すと 『のわぁっっ!?』 何故か逆サイドには孝治が居た。 って、はい!? 「なぁ三食昼寝付きって俺等もして良いんだよな?」 え?何言ってんの孝治。 「俺には美人なメイドも付けろよ?」 って、はい!?快治、ソレ図々しくね? 「俺面倒いの嫌いだからさ、俺には召使と執事と下僕な?」 ちょっ、いつの間に来たんだよ?英治。 ていうか 「あの、俺帰って良い?」 なんでまだ居んの?魔法使い。 「んあ?お前は俺の奴隷だろ?」 奴隷、なんですか。可哀相に魔法使い。一生扱き使われんだろうな。 英治スッゲェ人使い荒いから。

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