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第40話 ばかちん

 静ん中は熱くて、後で……俺のをここに入れられんのかなって思うくらいに狭くて、指をちょっと動かすだけでギュッて締め付ける。 「……静、まだ苦しいだろ?」  まだ指一本でもぎゅうぎゅう、って感じ。俺のなんて全然入りそうもない。静はめちゃくちゃ恥ずかしいよな。真っ赤になって狼狽えて、けど、受け入れようとしてくれてるのがわかるんだ。俺の服をギュッて握りながら何度も呼吸を整えようとしてくれてる。 「っ、く……ぅ」 「静……」  本当はさ、実は、少しだけぶっちゃけると、男同士の場合ってそこ使うって知ってたけど、抵抗ないのかなとか思ったりもした。少しだけな。ホント、ほんの少しだけ。けど――。 「ちょっとだけ体勢変えるな?」 「ぇ? っ! や、あああっ、待っ、やっ、そんなとこっ、汚っ」  今はちっとも抵抗ない。 「やっ!」  少し腰を持ち上げて、そのまま腰んとこを俺の身体で支えるようにして、もだもだと慌てる静の勃ったそれを片手で扱きながら、キスをした。一本、指を食わえさせてた孔んところに。 「やだ……そんなの……汚い、から」 「全然」  汚くねぇよ。 「あっ」  孔の周りにキスしながら前を扱くと、孔がキュンキュンって指を締め付ける。苦しさからとか、違和感とかからじゃなくてさ。 「気持ち良くなってきた?」 「っ」  ほら……多分、感じてる。指に抗うんじゃなくて、さ。 「! ひゃ、あああああっ」  ずるりと奥に指が入った時だった。中が孔の口んとこのすぐそばに口付けに柔らかくなった瞬間、奥に指が招かれて、そんで、きっと、これ。 「な、何っ、そこっ」 「多分、前立腺」  静の中が蕩けた気がする。中にあった、なんか少しだけ違う感じのするところ。  指、二本、入りそう……。 「やっ、やっ、やっ、なんか、出ちゃいそうっ、ぁ……あっ」  ほら、入った。  少し、太さを増したことに痛がったりするかなって注意深く静を見たら、真っ赤になりながら、シーツを掻き毟るように握ってる。途切れ途切れに溢れる声は苦しそうじゃなくて。指に合わせて身悶えて、中のそこを撫でる度に左手で握ってる静のが濡れて。 「や、ぁ……変っ」  ここ、すげぇ気持ちよくなれる場所だってハウツーサイトで書いてあった。確かにそうなんだと思う。撫でると俺の手の中で静のがカウパーを溢れさせてく。まるで蜂蜜みたいに指先からとろりと溢れて、静の身体にぽとりと滴った。 「あっ……ぅ……く、ぅ……ン」  鼻にかかった甘い甘い声も蜂蜜みたい。  中を指で掻き混ぜる度にローションの立てる音も、蜂蜜みたい。なんか……静が丸ごと、甘そうで。 「静……」 「ん、ぅ……ン」  美味そうだ。 「ン……ん」  齧り付くようにキスをしながら体勢を元に戻しても、静の中が違和感にぎゅうぎゅうって俺の指を拒むようには締め付けなくなった。 「あっ……」  指を抜いたら、静が可愛い声を上げてくれた。 「穂沙クン」 「へーき?」 「……」 「俺の、入れても」 「……」  覆い被さって、額と額をくっつけながら尋ねると、静が真っ赤になりながら、シーツをギュッて握って、こくん……って頷いた。 「あ、あの……萎え……て、ない?」 「ばかちん」 「わっ」  こっちはずっと痛いんだっつうの。  ベッドの上で膝立ちになりながら、限界ギリギリのそれを見せた。 「ちょっとだけ待って」 「ぇ?」 「ゴム」 「あ、開けようか?」 「へーき」  片手は静のカウパーで。もう片手はローションで。両手が濡れてて上手く切れないから、歯で切った。 「……」 「静?」 「! ごめ、なんか、今の、かっこいい」  今の? 歯で切るやつ? そうか? って、あんまりじっとこっちを見つめられて照れ笑いをこぼしながら、また覆い被さると、俺も静の瞳を覗き込んだ。  濡れてて、キラキラァって星が瞬く黒い瞳を。 「……穂沙クン」  今はその瞳の中に俺しかいなかった。 「静」  静ん中に。 「あっ……」  俺しか。 「あっ!」  いない。 「あっ……っ……っ」 「っ」  中、熱くて。 「んっ、んっ、ン、んんん」  やっばい。 「っ」  ゆっくり、ゆっくり。 「あっ……」 「苦し?」 「へ……キ、も、全部?」 「今、半分、かな」 「こ、んなに……これで、半分っ」  そう呟いて目を丸くした静の唇に一個キスを落として、「でっかい?」なんて照れ混じりに笑ってから、白い脚を少しだけ開かせて。 「っ」  中を。  もっとゆっくり。 「あっ!」  ゆーっくり。指一本ですら戸惑うような狭いところだから。ゆっくりと。 「……全部、入ったよ」 「は、ぁっ」  深く息を吸ってから静が俺へと手を伸ばした。 「静」  その手を掴んで、キスをして、しばらく、そのまま。 「あっ、穂沙クンっ」  馴染んだ気がするところまで、静にキスを待って、慣れてきたかなってタイミングで腰をゆっくり揺らしたら、くちゅりって、やらしい音がした。表情を見て、そんで平気そうだったからそのまま腰を掴んで、ゆっくりゆっくり静の中を。 「くぅ……ン」  揺らすと、口を手の甲で押さえてる。 「静?」  その手を掴んだら困ったような顔をして、真っ赤になって唇をギュッて結んで。 「声、変でしょ?」 「……」 「穂沙クンが萎えちゃう、かもって」 「……」 「さっき、ゴムをつけるの……慣れてるの見て、あ、当たり前、だけど、女の子としたことあるんだって実感して、それで、その俺、女の子じゃないから、平気って言って、くれたけど」  途切れ途切れに、ホントさ、そんなこと。 「けど、男の声で、その……喘いだっ、って」 「ばかちん」  そんなばかちんなことを言うデコをまた指先でちょっとだけ弾いて、身体を前に倒して、キスをした。唇に、深くて絡まり合うやつを。 「ン……ん」  唾液が溢れるようなやつ。 「ん、ン……」  角度を変えて、舌で口の中も掻き混ぜながら、唇に隙間から空気を送って。 「はぁっ……」  静の中を揺らしながら。 「んっ……ん」  もっと深く奥に。 「苦しくない?」 「へ、き」  もっと。 「あっ! ん……ン、んっ」  腰を動かすと甘い音がした。 「はぁ……」 「静」 「あ」  もっと聞かせて。 「萎えてそう? 俺の」 「ぇ? あっ」 「教えて」 「あ、あぁぁ」 「シーツにばっかしがみついてないで、しがみつくのこっち」 「あ、穂沙クン」 「声は出す、そんで俺の」 「あ、あ、あ、ダメっ、声っ」 「萎えてる?」 「ひゃ、あ、あ、あ」 「俺の、静ん中で」  もっと、たくさん、聞かせて。 「ぁ……」 「どう?」  静の声。 「お……き、ぃ」  甘い声。 「おっきいよ」 「だろ?」 「あ、あ、あ、あ」  腰を掴んでゆっくり。 「あぁっ」  少し強く。 「はぁっ」  またゆっくり。 「ぅんんんっ」  もっと強く。 「やぁあっン」  揺らす度に甘くなってく。 「あ、あ、あ、あぁっ、ン」  揺らす度に中が蕩けてく。 「あ、やだっ、乳首っ」  舐めたら甘そうだったから乳首を食んで。 「あ、あ、あ、握ったら、出ちゃう」  けど、すっげぇ気持ち良さそうに濡れて、とろとろだったから。 「あ、あ、穂沙クンっ」  扱くと甘い甘い声も溢れ出した。 「あ、あ、俺、俺っもうっ」 「俺も」  静の全部が甘そうで、美味そうで、齧り付くようにキスをしながら。 「静」 「あ、あ、穂沙クンっ、あ、イク、俺っ」 「俺もだよ」 「あ、あぁぁぁぁっ」  二人で一緒にイったんだ。 「っ」 「あっ……ぁ」  二人でさ。 「すげ……」 「穂沙、クン……」 「めっちゃ気持ちい」 「ほ、ホント?」 「ホント」 「あ、嬉しい」 「静は? って、訊かなくてもわかるけど、これ」 「!」  撫でたのはすぐに痛くなっちゃう腹んとこ。すべすべな真っ白は肌に、黒い星のついたおへそんとこ。 「は、恥ずか、……ン」  真っ赤になって照れた静に深くキスをして、離れると、照れ臭そうに笑って、俺も笑って、二人で初めてのセックスに嬉しそうに笑い合った。

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