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第3話 あだ名しか知らない人
僕はやってしまったらしい。朝チュンなるものを。
しかもだ、相手は男だ。
僕は二日酔いで痛む頭を抱えながら、これが夢か現実か怪しんでいた。
昨夜は記憶が無いわけじゃない。何なら、自分から強請った、かもしれないー⁉︎
うわうわっ、マジか。僕は童貞なのに、処女を失ったの⁉︎
身体に感じる違和感はそれが現実だと伝えてくる。あぁぁ。
たぶん記憶通りなら、隣に眠ってる向こうを向いてる男はリョウだ。
僕の中では極上の男だけど、寝るとかそうゆう話になると別というか…。
僕って、男もいけたってこと?それとも、酔っ払ってたから流されたって事?
まだぼんやりする頭の中を辿って昨夜の事を思い出す。
たぶん流されもしたけど、あまりの気持ちよさに自分から朝チュンになる過程へと飛び込んだっぽい。
そうか!リョウがテクニシャンだったのか!ってそんなの理由にならないって。
僕が回らない頭に汗をかかせて考えてると、リョウがこっちに寝返りを打つと僕を抱きしめた。
そしておでこにチュっとした。
チュっと。僕は固まってたんだと思う。
リョウは少しため息をつきながら目を開けて僕を見た。
長いまつ毛がゆっくり動く様は何とも綺麗だった。
「おはよ。たぶん…たっくん、混乱してるよね?僕たちいきなりこんな関係になって。
僕は前からたっくんの事好きだったから、嬉しい。
たっくんは僕の事好いてくれてるとは思うんだけど…。混乱してる?
言っとくけど、僕は性別はあんまり関係ないんだ。好きになった人がたっくんで男だっただけだから。」
そう言うと、ゆっくり身体を起こすと立ち上がって先にシャワー浴びるからまだ横になっててと行ってしまった。
僕って今リョウに告白されたの…?
…えっと、そもそもリョウってフルネームなんて言うんだっけ?
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