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第4話 気まずい朝
僕は動揺しながらリョウの後でシャワーを浴びさせてもらった。
浴室で僕の身体が思いの外ガタつくことに気付いて、僕はひとりで昨夜の事を思い出して手で顔を覆った。
何なら、少し身体が熱く感じてしまって、動揺した。うん。そりゃそうだよ。
シャワーから出ると、昨日着ていた服は洗濯中で、代わりの新品の高そうなパンツと、リョウの服が置いてあった。
僕はシルキーな手触りのパンツを履くと、鏡に写る自分の身体に散らばる紅い模様を発見して顔が赤くなるのを見つめた。
リョウに呼ばれて座った目の前には美味しそうなブランチセットがあった。
「嫌いなものがなければいいけど。」
リョウはにっこり笑って僕に食べるように勧めた。
酒に呑まれたはずなのに、案外二日酔いにはなってなかったようで、僕は急にお腹が空いてきた。
何も考えずに美味しく食べると、リョウは嬉しそうに僕を見つめて言った。
「良かった。好きな人に美味しそうに食べてもらうのがこんなに楽しいとは意外な発見だよ。
たっくんも二日酔いが軽いみたいで安心したよ。」
僕はふと思った。二日酔いが軽いって事は、僕は昨日そんなに酔ってなかったんだろうか。
酔ってたから快楽に流されたって自分の中の言い訳が成り立たない事に気づいてしまった。
僕がぐるぐると思い悩んでると、リョウはくすりと笑って言った。
「オレも初めて男と関係した時は色々心迷ったからたっくんの気持ちはわかるよ。
でもオレがたっくんを好きって気持ちは本当だから、それは信じて欲しいかな?」
そう言うとリョウは優しく微笑んだ。
あぁ、イケメンはずるいな。とんでもない事を言いながらでも、こんなにカッコいい。
僕は振り回されてるなと思いつつも、真っ直ぐに気持ちをぶつけてくるリョウの事はちゃんと考えようと思った。
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