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第22話 リョウside懺悔

俺は今、家のソファに座っているたっくんの前のテーブル越しに正座している。気分は懺悔だ。たっくんは視線を彷徨わせながら、傷ついた胸の痛みを癒す様に胸元を手で撫でていた。 俺はそんな痛ましいたっくんを見つめながら、思い切ったように話し出した。 「たっくんに誤解されたくない一番は、たっくんを好きになってからは俺、誰とも付き合ってないし、寝てないから。さっきカフェで会った、ケンジも顔見たの三ヶ月ぶりだからね…。俺がこれから話す事は、たっくんの知ってる世界とは全然かけ離れてるかもしれないけど、実際俺がそんな奴だったのは事実だから、軽蔑されてもしょうがないと思ってる。ここまでは大丈夫?」 たっくんは強張った顔だったけれど、ケンジには久しぶりに会っただけだと知って少し気が緩んだようだった。俺はたっくんが俺の過去を知ってなお、俺の側に居てくれるかどうか、それこそ神に祈る気持ちで告白を始めた。 「俺は中学、高校と女の子としか付き合った事がなかった。一応、彼女彼氏として普通に付き合ってた。 卒業の時に男に告白されて、一度きりの約束で関係を持った。好奇心もあったし、実際男同士で出来るかも分からなかったけど、その男が必死だったから可哀想に思ってやった。その時、俺は男の方が楽しめる事がわかったんだ。俺の息子は人より大きくて、女の子相手だと痛がられることも多くて、気を遣ってばかりで正直面倒だった。 俺はそれから男同士で相手を探すような場所へ出向くようになった。ケンジが言ってたビショップもそうだ。俺は新しい事に熱中して、毎週男を漁りに出歩いたんだ。でも好きになった事は無い。男同士のソレはなんて言うかスポーツに近くて、お互い発散目的だったから…。もちろんマナーや病気には凄い気をつけたし、検査もしてる。いつまでもこんな事やってられないってわかってたし。 だからバイトでたっくんが入ってきて、何だか知らないけど目が離せなくなった時に、俺は人生で初めて人を好きになるってこうゆう事なんだと思った。 俺、たっくんが初恋なんだ。女の子と付き合った時は、付き合ってくれって言われて付き合っただけで、可愛いとは思ったけど、今みたいに四六時中たっくんの事考えてるような事は無かったし。だから節操ないのは本当だけど、今は違うし、俺たっくんだけだから。馬鹿な男でごめん。」

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