リョウは少し迷ったそぶりで、でも僕を見つめて言った。 「たっくんを抱きしめたい。俺、調子乗りすぎかな…？でも俺の大好きなたっくんをぎゅって抱きしめたいんだ。」 僕はリョウがたまらなく可愛く思えて、クスッと笑うとソファから立ち上がって、床に正座しているリョウのところへ行った。そしてリョウに覆いかぶさるとぎゅーっと胸に抱き締めて言った。 「…きっとリョウは脚が痺れて立てないと思うよ？だから僕がぎゅっとしてあげる。」 きっと僕の顔は赤くなってる。でも、僕はリョウと気持ちがしっかり繋がった気がして、恥ずかしさよりリョウとくっ付きたかったんだ。 段々僕は恥ずかしさより、自分の気持ちに正直になる方を優先する様になった気がする。それが正解だと思うから。自分の大事な人に、自分の素直な気持ちを遠慮なくぶつけられるって凄い事だよね？ でもそれは、リョウがいつも僕に真っ直ぐな愛情を向けてくれるから、僕も安心して心を届けられるんだ。僕はそこまで恋愛経験もないし、自分が傷つきたくないって直ぐに思っちゃう。でもそれって、リョウが傷つく覚悟で僕に心を差し出してるって事なんだって最近分かってきたんだ。だから、その分今回のことはショックだった。全くの勘違いだったけど。 僕はリョウを困らせたお詫びをしたかった。リョウが僕に届けてくれる溢れるばかりの愛情のお返しをしたかった。僕の背中に回ったリョウの腕が少し緩んで、僕を見上げるリョウを僕は見下ろして言った。 「ありがとう。いつも僕のこと大事にしてくれて。僕って凄い幸せ…、だよね？」 そう言ってくふふと笑うと、リョウは急に顔を赤らめて言った。 「たっくんは狡い。そんなに可愛く笑って。俺、自分から手を出さない様に我慢してるのに。」 僕はちょっと悪戯心が湧いて来て、リョウの唇を指でなぞってささやいた。 「ふーん。何で我慢してるの？…リョウは仲直りはしたくない？」 僕がそんな事を言ったせいで、リョウは急に雄の眼差しで僕を見つめると、僕を床に引き倒した。僕の上に覆いかぶさるリョウは僕にキスしようとしたけれど、急に顔を顰めてイタタタと脚を手で擦り始めた。やっぱり痺れてたみたいだ。 「くそっ、カッコつかないな。せっかくたっくんがあんなに魅惑的に誘ってくれたのに…！」 そう改めて言われると、何だかとっても恥ずかしいんだけど！僕は笑うリョウに叫んだんだ。 「リョウの言い方！…なんか嫌だ！」