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第30話 友達ってありがたい

僕が可愛いとか、王子と子犬説は置いておいても、僕は陸斗の言葉に救われた思いがした。もともと、僕はノーマルな嗜好だったはずだ。その僕が男を好きになったというよりは、リョウを好きになってしまって、結果的に男同士で付き合うことになった。 他人にどう思われようがあまり気にならないけれど、仲良しの友達に男同士で付き合うとか気持ち悪いとか思われたら、しょうがないと思う一方で、たぶん凹むのは間違いなかった。 でも、陸斗たちはあっけらかんとそんな心配を吹き飛ばしてくれた。よく考えたら、茂紀も陸斗も僕たちを最初から応援してくれていたのを思い出して、僕は思わず二人ににっこり微笑んで言った。 「ね、僕お前たちと仲良くなって、本当に良かったって思うよ。ありがと。」 僕の顔をまじまじと見つめた茂紀と陸斗は顔を見合わせた後、茂紀が言った。 「マジでやばいな拓。なんか見ちゃいけない感じ…。」 僕は眉を顰めて茂紀を見つめると何を言ってるのか分からなくて、陸斗を見た。陸斗はちょっと顔を赤らめて僕の頬を摘んで言った。 「何かさー、拓が急に駆け足で大人の階段登っているみたいでさ、お兄さんちょっと寂しいよ。」 俺は陸斗の手を頬から引き剥がして、訳の分からない事を言う二人をもう一度睨みつけた。さっき買ったコーヒーフロートのアイスをスプーンですくって食べながら思い切って言った。 「‥実はさ、二人に相談したい事があったんだけど。んーと。あー、でもやっぱりいいや。さっきの話で何となく解決したかも。」 そう、一人で自己完結する俺を呆れたように見つめた茂紀は、バーガーを飲み込みながら言った。 「ふーん。まぁ何か困ったことがあったら、何時でも相談しろよ。俺たちも男同士のあれこれはよく分かんないけど、恋愛相談なら乗れるからさ。」 陸斗は茂紀の方を指差してニヤニヤして言った。 「えー、茂紀って恋愛のアドバイスするほど恋愛上級者でしたっけ?そう言えば、最近彼女と別れたの誰だったかなぁ。」 そう揶揄う陸斗にムキになった茂紀がコップの水を指先で跳ね飛ばして反撃するものだから、俺たちは馬鹿みたいに笑った。僕は友達の有り難さをしみじみと噛み締めると、朝リョウに掛けられた言葉を胸の奥で反芻した。僕の気持ちはもうあの瞬間に決まってたみたいだ。 『たっくん、俺と一緒に住まない?』

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