2 / 164

第一章・2

「津川くんは、第二性がΩですね。発情はコントロールしていますか?」 「まだ発情期を迎えてはいませんが、やるべきことは承知しています」 「18歳とありますが、最終学歴は?」 「履歴書にあるとおり、中学卒です」 「高校へは、進学しなかったのですか? なぜ?」 「そ、それは」  そこへ、真が押し出すような声を上げた。 「なぜ君は、パイナップルを持っているんだ?」  一番訊ねたいところは、そこだろう。  副店長も人事部長も、何を体裁を繕っているんだ!? 「あの、よかったら特技を披露させてもらおうかと思って。それで」  特技。  これまでの候補者たちも、何かしら特技は持っていた。  カラオケが得意だというから歌ってもらったら、とんでもない音痴だったりしたが。 「僕、パインサラダを作ることが、得意なんです!」  今から作ってもいいですか、と尋ねる杏に、真は興味を持った。

ともだちにシェアしよう!