4 / 164

第一章・4

「さて。採用は一人だが」  三人だけになった応接室で、真はそう切り出した。 「わたくしは、3番の子を推します」 「わたくしは、5番の子を」  うん、と真は全て平らげられたパインサラダを眺めた。 「美味かったな、パイナップル」 「いけませんよ、店長」 「今回採用するのは、接客スタッフです」  解っている。  だからこそ、元ホストだとか、元娼夫だとかが面接に来たのだ。  厨房スタッフは、必要ないのだ。 「だけど、可愛かった」 「見た目は確かに」 「しかし、未経験者と言うのは、ちょっと」  今欲しい人材は、即戦力だ。  それに、あんなに愛嬌のあるウブな少年に客を取らせるのは気が引ける。  この店では、中出し以外なら性交も提供しているのだ。 「解った。採用は3番か5番で行こう」 「それでこそ、店長」 「英断です」  だが、と真は杏の履歴書を手に取った。 「この子は、私が個人的に採用する」  何ですって、と二人は口をぱくぱくさせた。

ともだちにシェアしよう!