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第一章・6
「店長さん、ここです!」
カフェには10分前に入ったのだが、杏はすでに席についていた。
両手を挙げ、ぶんぶん振って見せる仕草は、眩暈がするほど可愛い。
いや、ルックスも充分過ぎるほど可愛いのだが。
栗色の、ツーブロックマッシュ。
ぱっちりとした目に、なだらかな鼻梁。
白い肌に、すらりとした美しい手足。
細身の腰は、早く抱きしめたいほどそそる。
もうそのまますぐにでもマンションに連れ込んでしまいたいのをこらえて、真は笑顔を作った。
「早かったね」
「すみません、早すぎました」
コーヒーを頼み、真は杏に話しかけた。
「電話で君に、私の家政夫になって欲しいと言ったけど」
「はい」
「君のパインサラダ、見事だったよ。あんな腕を振るえるのなら、私のマンションを任せておけると思って」
始めは不安げな表情だったが、真の話を聞くうちに、杏は笑顔になっていった。
「ありがとうございます。そんな風に言っていただけて、僕うれしいです」
「じゃあ、OKだな」
「はい!」
真は喜び勇んで、杏を車に乗せると、マンションへ連れ帰った。
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