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第二章・3
夜、オープンした真の店『キャンドル』の一室に、詩央はいた。
さらさらの金髪に、日本人離れした整った目鼻立ち。
伸びやかな肢体に、甘い声。
そんな美貌を誇る彼には、さっそく客が付いた。
「どう? 詩央くんは」
「頑張ってますよ。お客様へのサービスも、そつなくこなしてます」
個室に区切られた部屋には、防犯用のカメラが付いている。
真がモニターを見ると、詩央は客とキスをしていた。
「さすが、慣れてる、って感じだなぁ」
これなら、任せておいても大丈夫だろう。
(ああ、私も早く杏くんとキスしたい)
もう、23時を過ぎている。
風営法により0時に店は閉めるが、残務処理などしていると、帰宅が午前2時を回ることもざらだ。
(さすがに、眠っているだろうな)
お帰りなさいのキス、をしてもらいたいところなのだが。
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