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第二章・7

「北條さんは、ヤクザさんだったんですか……!?」 「え? あ、あぁ。これか」  指摘され、ようやく杏が自分の入墨に驚いたことを知った真だ。  頭を掻きながら、それでもきちんと否定した。 「この体だが、私は極道じゃないよ。いわば、半グレだ」 「半分グレー、ということですか」 「うん。店の持ち主は、ヤクザさんだがね。私は、雇われ店長だ」 「そうだったんですね」  それより、と真は杏に背中を向けた。 「洗ってくれないか」 「はい」  杏は、手渡されたスポンジを泡立て、ていねいに真の肌を擦った。  シャワーでシャボンを流した後は、真が杏の背中を洗った。 「ここも綺麗にしてあげよう」 「へ、変なとこ、触らないでください!」  じゃれ合いながら体をきれいにした後は、バスタブに二人で浸かった。 「大きな湯舟ですから、二人でも楽に入れますね」 「バスタブに浸かるのは、久しぶりだ」  真が体を動かし、湯が派手にあふれた。  背後から杏を軽く抱き、その気になれば後ろから貫ける体勢だ。  だが、杏の一言が真を萎えさせた。 「何だか、おじいちゃんと一緒にお風呂に入ってるみたいです」

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