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第四章・6

「水、飲むか?」 「ありがとうございます」  真からミネラルウォーターを受け取り、詩央は美味しそうにそれを飲んだ。  まるで憑き物が落ちたように、さっぱりとした顔をしている。 「満足してくれたかな?」 「僕ったら。何て恥ずかしい真似を……」 「Ωなら、仕方がないさ。またヒートする前に、家に帰りなさい」 「あの、北條さん。その……。僕と、同棲してるΩの子と、どっちが悦かったですか?」  その問いには、苦笑いするしかない真だ。 「同棲Ωくんとは、まだ寝てないんだよ」 「え?」 「ホントにウブな、未経験の子でね。ま、気長にやるさ」  その言葉に、詩央は少なからずショックを受けた。 (その子が許すまで、我慢するってことですか? 我慢できるってことですね?)  体ではなく、心でその子を愛してるんですか!? 「あの、北條さん」 「ん?」 「いつかその子に、会わせてくれたら嬉しいです」  詩央は、杏に興味を持った。  どんな人間か、その目で確かめたくなったのだ。

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