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第四章・7

 機会があれば、そのうちに。  そんな口約束を、真は気軽に吐いた。 「それより、もう帰りなさい。人間、健康第一だ」 「もう、熱は下がりました」  北條さんのおかげで。  ふふっ、と笑顔の詩央が艶美だ。  だが真は、そこでなぜか杏を思い出していた。 (杏くんは、この詩央くんとまるで違う笑い方をする)  明るい、元気いっぱいの笑顔。  夜に咲く、コケティッシュな胡蝶蘭のような詩央とは真逆の魅力。 (いや、私はどちらかというと、この詩央くんのような子とばかり付き合ってきたんだが)  思いを振り払い、真は詩央を無理に帰宅させた。  そして、自分もマンションへ帰ると言い出した。 「店長、出社なさったばかりですが!?」 「すまん。私も少し体調が悪い」 「また、そんな仮病を!」 「何とでも言ってくれ」

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