35 / 164

第五章・5

「さて、お風呂にでも入ろうかな」 「出がけにシャワーを浴びたのに、ですか?」 「恋人になった杏と、早くバスタイムといきたいんだ」 「はい……」  どうしよう。  脱衣所で服を脱ぎながら、杏はドキドキしていた。  真は、先に浴室に入っている。 (恋人として、一緒にお風呂に入るとなると)  今まで以上に、エッチなこと、するのかな。  これまでに、真とはよく一緒に入浴してきた。  だが、ふれあいと言えば、キスだとか、洗いっこだとか、マッサージだとか。  そんな、少し頬を染める程度のことしかしてこなかった。 (時々、胸を弄られたりしたけど)  それでも、杏が驚いたり嫌がったりすれば、すぐにやめてくれる真だ。  今後もそれに期待しつつ、杏はこわごわ浴室に入った。  洗いっことマッサージの後、いつものようにバスタブに二人で浸かる。  ふう、と一息ついた後、真が口を開いた。 「杏に、お願いがあるんだけど」 「はい」 「いや、やっぱりやめよう。杏には、無理だ」 「無理かどうかは、聞いてみないと解りません」 「どうせ、できないさ。言うだけ無駄だ」 「やります! 何ですか、一体!」

ともだちにシェアしよう!