38 / 164

第五章・8

「……っく、ぅう。ん、んあぁ」 「杏、我慢しないで声出して。力、抜いて」 「うぅう。はぁ、はぁ、あんッ!」  真の指先は舌先に代わって、杏の乳首をいじめていた。  大きく舐めた後、唇で挟んで圧をかける。  舌でつつき、弾く。  震えながら声を殺していた杏だったが、ちゅっちゅと吸われると首をはね上げて悲鳴を上げた。 「あぁ! イヤぁ、ダメッ! も、もう、あぁあ!」  ひくひくとわななき、真にすがりついて震えている。 「杏、もしかしてイッたか?」 「うぅ。ヤだ、もう……」 「恥ずかしがらないでいいよ。それだけ、敏感ってことだ」  乳首責めだけで、イッてしまうとは。  真は、いまさらながら杏の純潔を大切に守ってきたことに安堵した。  急いて無理に犯していれば、この子の心は壊れてしまったに違いない。 「さ、シャワーを浴びて上がろう」 「ごめんなさい、真さん」 「謝らないでくれ。すごく素敵だったんだから」 「……ホントですか?」 「ああ。ありがとう」  それだけで、杏は笑顔になる。  幸せな気持ちを、真に与えてくれるのだ。 (恋人、か)  それもいいかも、しれない。  生まれて初めて、真は真剣に恋の相手と向き合い始めた。

ともだちにシェアしよう!