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第六章・2
「どうした? やっぱり、怖いのか?」
「……」
ん? と真が首を傾げて見せると、杏は無言でうなずいた。
「大丈夫。大人しくしてれば、すぐに終わるから」
「……真さん。今からエッチすれば、僕はあなたの恋人なんですか?」
「え、あ、まぁ。そういうことに、しようか」
だったら、と杏は小さな声でささやいた。
「デートとか、してくれますか? 一緒に出掛けて、いろんなところに行ってくれますか?」
「あ……」
真は、杏が泣いている理由が、少し解った。
普通、恋人同士ならば、デートが先だ。
デートして、手をつないで。
ドキドキしながらキスをして、そして初夜を迎える。
杏は、そんな手順を恋人に期待していたに違いない。
(私も、もう青臭い10代ではないことだし)
今まで、我慢できていたことだし。
「明日、デートしよう。どこか、行きたいところはあるか?」
「園芸店に、行きたいです」
「珍しいところに行きたがるな」
遊園地とか、映画とか。そんなところじゃなくても、いいのか?
「お部屋に、グリーンを飾ってもいいですか? それを、選びたいんです」
デートに、仕事を絡ませるとは。
真は、杏の生真面目な性格を、可愛く思った。
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