42 / 164
第六章・4
翌日の朝食の席で、真はコーヒーを飲みながら杏に提案した。
「午後2時に、駅前のカフェで待ち合わせしよう。そこから、デート開始だ」
「一緒に、ここから出かけるんじゃないんですか?」
せっかくだから、と真はいたずらっぽい目を見せた。
「いつも一緒なんだ。たまには、別々のところから顔を合わせないか?」
「はい。解りました」
そんなやり取りの後、真はリビングで新聞を読み、書斎で軽く仕事をし、午前10時には出かけてしまった。
「真さん、やけに早く出かけちゃったなぁ」
でも……。
「今日は、デート。真さんと、デートだぁ!」
うきうきと家事を済ませ、杏は自分に与えられた部屋で着ていく服を選び始めた。
「何か、いまいちだな」
お気に入りの服ばかりだが、どれも古いのだ。
真から預かったカードでは、自分の服などは一切買っていない。
「貯金、あと少ししかないけど」
まだ12時と、少し早いが、杏ももう出かけることにした。
繁華街に行って軽く昼食を摂った後、口座からお金を下ろした。
そして、ブティックへ足を運んだ。
ともだちにシェアしよう!