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第八章・4

「やっぱり長風呂だなぁ、杏は」 「真さん、ワインそんなに飲んじゃったんですか!?」  マンションだと杏が止めるので、最近あまり深酒をしていなかった真だ。  つかの間だが、久々のお一人様の時間に、ボトル一本開ける勢いで飲んでいた。 「そんなに飲んで。酔っぱらってませんよね?」 「大丈夫。ワインくらいで潰れる私じゃないよ」  それより、と真は笑顔だ。 「ぶかぶかだなぁ、バスローブ」 「でも、温かいです」 「杏もバスから上がったことだし、湯冷めする前に寝るか」 「はい」  寝室へ移動し、パジャマを着て、二人は大きなベッドに潜り込んだ。  真のコロンは、ホテルの上質なソープの香りに代わっている。  その香りをゆっくり吸って、杏は瞼を閉じた。  そんな仕草に、真は軽くうなずき諦めた。 (やはり、まだ無理か)  だが、今までで一番リラックスしている風の杏だ。  そんな安息を彼に与えることができた喜びを噛みしめ、真もまた瞼を閉じた。

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