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第九章 幸せ

 しんとしたホテルの寝室で、杏の息遣いだけが響いていた。 「ん、あぁ。はーっ、はーっ。んんぁ……」  彼の体内には、真の太い指が。  それはすでに、二本に増えている。 「いいぞ、杏。君の体は、大丈夫だ」  時折、そんな優しい言葉をかけながら、真は彼の体を拓いていた。 「ん、でもっ。僕、僕なんだか変な気持ちに……」 「何も考えないで」  そろそろかな、と真は杏の腹側に指腹を当てて擦った。 「ひ、あぁ!」  途端に、杏の身に電流が走ったような刺激が。  その中心からは、先漏れの体液がとろりと流れた。 「ん、ふッ! や、だ。真、さぁん!」 「杏、ここはね。男の感じる部分なんだ」  だから、何も怖くないし、恥ずかしがることはない。  じっくりていねいに前立腺を弄ってやると、杏は身をよじらせて悶えた。 「あっ、あッ。だ、ダメッ。ダメぇえ!」  びゅっ、と杏は勢いよく精を飛ばした。

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