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第十章・5

 遠田は、詩央を一目で気に入った。 「こんな店辞めて、俺の情夫になれ」  二言目には、そう言った。 (ダメ。嫌いなタイプ)  ついつい浮かない顔になりそうなところを、ぐっと笑顔でこらえる。  詩央は、接客のプロだった。 「こんなお店、って。遠田さんのお店でしょう? 素敵な環境で働かせていただいて、感謝してます」 「まあ、な。今度、二号店だそうかと思ってる」 「わぁ、すごい。遠田さんって、才覚あるんですね」 「組をもっともっと強くするには、それくらい出来ねえとな」  詩央に持ち上げられて、すっかりいい気分の遠田だが、飲み食い三昧も過ぎると飽きてくる。 「そろそろ、運動といこうか」 「待ってました」  詩央は、遠田にすり寄った。  ひどいアルコール臭だ。。  それに、禁煙室なのにさんざんタバコを吸って、ヤニ臭い。 (ヤだ。もう吐きそう)  それでも詩央は耐えて、遠田とキスをした。  真を想い、こらえた。 「口もいいけど、こっちの方がもっと気持ち悦いよな」  遠田は恥ずかしげもなく、ペニスを掴み出して見せた。 「しゃぶれ」 「はい」  詩央は観念して、遠田のものを手にした。

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