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第十章・6
触れた遠田のペニスは、ごつごつしている。
詩央は、息を飲んだ。
「見たことあるか? こないだ、真珠入れたんだよ」
(もうイヤぁ。助けて、北條さん!)
後にこのグロテスクな肉茎が自分に挿入って来るかと思うと、気が遠くなりそうだ。
それでも詩央は、夢中で舌を躍らせた。
全ては、真のため。
そう思い込むことで、自分を保っていた。
「おぉ、巧いじゃねえか。じゃ、出すぜ」
(早くイッて。この早漏!)
生臭くいやらしい、遠田の精が詩央の咥内を汚す。
(うぅ……)
目じりから涙をにじませながら、詩央はそれを全てきれいに飲み干した。
休む間もなく、遠田は詩央の腕を引いてベッドへと上げた。
「さ、お楽しみはこれからだ」
「お手柔らかに」
詩央の脳裏に、水を差しだしてくれた真の姿がよぎった。
『水、飲むか?』
優しい、北條さん。
セックスの後に、彼は飲み物をすすめてくれたっけ。
(遠田さんの接待が終わったら、北條さんに会えるんだ。だから、耐えるんだ)
引き裂く勢いで服を剝がれながら、詩央はそんなことばかり考えていた。
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