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第十章・7

「う、ぐぅッ! あっ、あッ、イヤぁあ!」 「どうだぁ? イボイボが当たって、気持ち悦いだろ?」  悦に入っているのは、遠田だけだ。  慣れない刺激は、詩央にとって苦痛でしかなかった。 「ん、あぁ。お願い! 遠田さん、早くちょうだいぃ!」 「またかぁ? おねだり上手だな、お前は」  こうなるともう、早く遠田を空っぽにしてしまうに限る。  すでに二度射精している遠田に、詩央は煽るような言葉を浴びせ続けていた。 「あ、凄いぃ! ん、ふぅッ。もう、もうイッちゃうぅ!」 「ホントに好き者だな、お前は! ほら、よ。受け取れ、この淫乱が!」 「んッ、ん! あぁああ!」  ひどい。  こんな酷いことを言うお客様は、初めて。  体を、精神を痛めつけられながら、詩央は快感に身を震わせるふりをした。  身を引き攣らせ、ぐったりと力を抜く。  本当は、一度も達してはいない詩央だった。  自分だけ満足して、遠田はベッドに身を投げ出すとタバコをくわえた。 「はぁ。いい味してたぜ、お前」 「ありがとうございます……」 「どうだった? 最高だったろ。極楽に、イけたろ?」 「はい。それはもう」  遠田の体に彫られた鬼面をぼんやり見ながら、詩央は脱力していた。

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