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第十二章・5

 クリスマスパーティー、と杏は目を輝かせた。 「僕、参加してみたいです!」 「そうこなくっちゃ」  詩央は、杏に笑顔をよこした。 「杏くんには、北條さんが張り付いていれば、他のお客様が割り込んでくる危険もないし」  他のスタッフたちも、面白そうだ、と乗り気だ。 「ね、北條さん。営業部長に、提案してみてください」 「面白そうな企画だな。さっそく、話してみるよ」  そうなるともう、勇んで会議に戻ってしまった真だ。 「北條さん、せっかく杏くんが来てくれたのに。もう少しゆっくりしていけば……」 「いえ、いいんです。それより僕、詩央さんに訊きたいことが」  少し頬を染め、目を反らすような杏のしぐさに、詩央は首を傾げた。 「何だろう。僕で良ければ、何でも言って」  あの、その、と周囲をうかがうような素振りを見せて、杏は詩央の耳元に口を持って行った。 「フェラ、ってどうすればいいんですか?」 「え!?」  百戦錬磨の詩央も、純情な杏の口からそんな言葉を聞けば、何だか恥ずかしい。 「真さんに、してあげたくて。それで」 「そう!? そう、だよね」  何、何の話? と寄ってくるスタッフに、少し外でお茶を飲んでくる、と言い残し、詩央は杏を連れて店外へ出た。

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