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第十二章・6
「よろしくお願いします!」
「う、うん」
メモまで用意し、乗り出す勢いの杏に、詩央はクスリと笑っていた。
「杏くん、ホントに北條さんのことが好きなんだね」
「え!? あ、はい……」
フェラのやり方を訊きながらも、好きという言葉には耳を赤くする杏だ。
そのギャップに、詩央は萌えた。
そして、囁いた。
「その気持ちがあれば、充分なんじゃないかな。北條さんが好き。それであらゆるテクを補えるよ」
「そうなんですか?」
「下手に僕に教わったりすると、妙な癖が身につくからね」
ウブな杏が、プロのテクで真を驚かせる画は、それはそれで面白い。
だが、詩央は杏と真の関係を重視した。
「キスしたり、舐めたりしてあげて。後は、真さんにその都度たずねるといいよ」
「真さんに!?」
「今、気持ち悦いですか? この次は、どうやって欲しいですか? ってね」
「はい……」
それなら、恥ずかしいけど僕にもできるような気がする。
杏は、そう考えた。
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