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第十三章・2
「そして、マッチングが成功したスタッフとお客様が、個室へ入る、か。詩央くん、面白いこと考えたなぁ」
「はい……」
真は素直に感心しているが、杏は少々緊張していた。
なにせ、今夜は特別な夜なのだ。
『そうだ。あのクリスマスパーティーが採用されたら、思いきって北條さんにフェラしてあげたら?』
『途中で、そっと抜けるんだよ。個室に入ってしまえば、後は二人きりだ』
『杏くん、北條さんを愛してあげて。思いきり、悦ばせてあげて』
詩央にそう背中を押され、杏は今夜初めて自分から真を愛する覚悟でいるのだ。
(神様、どうかうまくいきますように)
「楽しいパーティーにしような、杏」
「は、はい!」
真は真で、初めて杏と迎えるイヴを楽しみにしていた。
エントランスには、大きなツリーも準備した。
(杏、気に入ってくれるかな? 喜んでくれるかな?)
真の運転する車は、二人を会場へと運んで行った。
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