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第十三章・6

「店長、どうするつもりかな。僕たち、このまま遠田さんの餌食かな?」 「それは勘弁! 今からでも、逃げ出そうか?」 「も、ダメ。俺、諦めた」  そんなスタッフたちに、詩央は声をかけた。 「皆、気持ちはわかるけど、ここは北條さんを信じよう。きっと、最悪の事態は避けてくれるよ」  う~ん、と全員が唸り、考え込んだ。  確かに店長は、スタッフの心身の健康を考えて職場環境を整えてくれる、良い上司だ。  だが、過去に遠田が絡んだもろもろの事案。  あれは……。 「いや、店長は遠田さんにだけは頭が上がらないから」 「オーナーだからね、遠田さん」 「雇われ店長は、こういう時に弱いよね」  みんなで口々にそう言い合っていると、ドアが開いた。  まさにその時、真が入って来たのだ。

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