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第十三章・7
「さあ、皆。そろそろ開店だ。クリスマスパーティーが始まるぞ」
「真さん」
「北條さん」
「店長」
皆、それぞれに口を開いたが、その表情は不安げだ。
「ど、どうした? みんな」
誰も口を開かなかったが、杏が思いきったように伝えた。
「真さん。遠田さんが来ると聞いて、皆さん動揺してらっしゃいます」
「知ってたのか……」
まぁ、急にその面を見て嫌になるより、事前に解っていた方が心の準備も整う。
「確かに遠田さんが来るらしいが、それに心配は及ばない。私がきちんと対処するよ」
今夜は、遠田さんにはすぐにお引き取り願う。
真のきっぱりとした言葉に、一同の緊張はややほぐれた。
「でも、そんなことできるんですか?」
遠田の怖さを、一番最近知った詩央が、恐る恐る訊ねた。
「大丈夫。私に、策がある」
うまくいけば、遠田さんはカクテル一杯飲まずに、帰ることになるだろう。
自信たっぷりの真に、空気はようやく動き始めた。
「じゃあ、安心して仕事ができます」
「店長、頼りにしてますよ!」
「さ、エントランスへ行こう」
スタッフは息を吹き返したように陽気になり、休憩室を出て行った。
残るは、真と杏のみだ。
「真さん、危ないことはしないでくださいね?」
「私に任せて、杏も楽しんでくれ」
さぁ、行こう。
真は、杏の肩を抱いて部屋を出た。
決意を込めたクリスマスパーティーが、始まった。
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