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第十五章・6

 杏は、まるで初めて抱かれたような心地を感じていた。  奥まで挿入って来る、真。  その熱い刺激だけで、イッてしまいそうだ。  シーツを握りしめ、その衝動を必死でこらえた。  だが、声が漏れて出る。  甘い悲鳴が、口をついて出てくる。 「あ、んぁんッ! そ、そんな奥、までぇ……ッ!」 「嫌か? この辺りで、止めようか」 「や、やだ。もっと、挿れて、くださいッ」  杏のお許しが出たので、真は安心してその体を最奥まで貫いた。  少し腰を揺すってやると、腹側のスポットに当たって杏が声を上げる。 「あぁあ! そこ、ダメッ! ふ、あぁ、あぁん!」 「そうか。これが気持ち悦いのか、そうか」 「い、意地悪ぅう!」  緩慢に腰をやって杏の体内を、じっくりと味わう。  粘りと絡みつきに加え、今夜はΩの体液で温かな滑らかさが加わっている。  その中の味に、真は心臓を掴まれるような興奮を覚えていた。 「杏。少し、動くけど。キツかったら、言いなさい」 「う、はい。ッく、あぁ、んあぁ!」  真は、勢いよく腰を退いた。

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