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第十六章 三村との出会い

「気が付いたら、正月とは」 「真さん、明けましておめでとうございます」  波乱のクリスマスも無事終わり、真は杏のこしらえた豪華なおせち料理を前にしていた。  まさか、自宅で正月を迎えようとは。 「いつものお正月は、どうしてたんですか?」 「面倒くさいから、ホテルに数日泊ってたよ。今年は、杏と一緒だ」  嬉しいな、と真は屠蘇の杯を杏に渡した。 「今年一年、杏が健康でいられますように」 「ありがとうございます!」  三度に分けて注がれる、お屠蘇。 (なんだか、三々九度みたい)  まだ飲んでいないのに、杏の頬はぽっと染まった。  こちらも、三度に分けて飲む。  その姿に、真も神前式の結婚を連想していた。 (杏と、結婚したいな)  ぽうっ、と浮かんだ、予期せぬ願い。  真は、慌てた。

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