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第十九章 僕、発情したみたいですぅ。
2月14日、バレンタインデー。
杏は、かねてから真に話していた通り、昼食を外で食べる、と言ってマンションを出て行った。
真はそっと後をつけ、エントランスから杏を見ていた。
「タクシーで行きなさい、って言ったのに」
杏は、迷うことなく駅の方へと歩いて行った。
そこへ、携帯の着信音が。
詩央からだ。
『もしもし、北條さんですか? 杏くん、家を出ましたか?』
「ああ。今、出て行ったよ」
『了解です。じゃあ、僕たちも準備しましょう』
「では、見つからないように」
真はいったん部屋へ戻り、スーツを身に着けた。
自動車を走らせ、月雁の入っているホテルへと向かう。
少し早めに到着したが、詩央はすでにロビーで待っていた。
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