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第十九章・4
「三村さん、何だか暑くありませんか?」
「ん? そうかな」
「エアコンの調子が、良くないのかな……」
はぁ、と息を吐く杏。
シャツのボタンを上から一つ二つ外し、姿勢を崩した。
「たくさん食べ過ぎたんじゃないのかい?」
「そうでしょうか……」
何だか、体が変。
奥が熱くて、カッカして。
悶えるような衝動が、潜んでいるような。
(何だか、真さんとエッチする時みたいな気分)
ここにいるのは、三村さんなのに。
一方の三村は、ほくそ笑んでいた。
(効いてきたようだな、媚薬)
杏くんを欲情させて、ホテルに連れ込み抱く。
万が一、後ほど訴えられても、Ωの発情のせいにできる。
三村は、そこまで考えて杏を我が物にしようと企んでいたのだ。
「ホテルに、部屋を取ってあるんだ。よかったら、そこで少し休むといいよ」
「すみません……」
二人が席を立とうとしたその時、隣室で様子をうかがっていた真と詩央が、乗り込んできた。
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