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第二十一章・3

 しかし、遠田が店を買わないか、と持ち掛けてきた。 「あの人はもう、私と関わり合いになりたくないんだろう」  組員の前で、恥をかかされたのだ。  報復も考えただろうが、真は極道とは違う。  何をやりだすか解らない、半グレなのだ。  任侠の筋は、通らない。  そこで、真を遠ざけることに決めたのだ。  もう、真を雇われ店長にしておくのは、まっぴらなのだ。 「風俗の店からは、足を洗おうと思ってたのにな」 「でも、真さんがお店を買わなければ、詩央さんたちは……」 「そこが、頭の痛いところだ」  何か、いい方法はないだろうか。  杏の髪をいじりながら、真は考えていた。

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