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第二十二章・4

 隣ですやすやと寝息を立てる杏を見ながら、真は小さくつぶやいた。 「本当に。私はなぜ、この子をこんなに深く愛してしまったんだろう」  ボーイズ・バーの面接に、大きなパイナップルを持ってきた、型破りな子。  それで終わりにならなかったのは、杏があまりにも次から次へと新鮮な驚きと喜びを、もたらしてくれるからだろう。  だがしかし。 「今度は、私の番だ。驚かせてやるぞ、杏」  例の計画は、着々と進むだろう。  いや、進めて見せる。 「遠田から店も買ったし、三村さんとの話もついた」  後は、あの人に良い返事をもらって……。 「杏、喜ぶかな。喜んでくれるかな」  そんなことを囁きながら、真も瞼を閉じた。  呼吸が深くなったころ、杏が目を覚ました。 「真さん、良く寝てる」  ふふっ、と笑い、杏はその顔を眺めた。 「眠ってると、可愛い顔」  そんな真の寝顔を見ることが、大好きな杏だ。 「今夜は。ううん、今夜もいっぱい愛してくれた」 『私は、もう年だから』 『30代は、働き盛りですよ!?』  以前はこんなやり取りさえしていたのに、最近の真はタフだ。 「僕の方が、疲れちゃう」  笑顔で、杏は真の頬にキスをした。  その眠りを妨げないように、静かに優しくキスをした。

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