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第二十二章・5

 3月14日、ホワイトデー。  この日、真は杏を連れて外出した。 「また、豪華なホテルでお食事ですか?」 「着いてからの、お楽しみだ」  車を走らせ、繁華街に向かう。  商用地にしては広いスペースの駐車場に、真の車は滑り込んだ。 「さ、着いたぞ。降りて降りて」  ワクワクしたような真の声色だ。  杏も笑顔で、急いで車外に出た。  そこには、一軒のレストランが建っていた。  店名の看板には『パインサラダ』とある。  まだ『準備中』との札が下がっていたが、真は気にせずドアを開けた。 「真さん、営業時間外ですよ?」 「杏。君がここに入って、仕上がる。準備が整うんだ」  一体、真さんは何を……?  杏は、恐る恐る敷居をまたいだ。 「いらっしゃい!」 「あれ!? おじいちゃん先生!?」  そこには、杏の通う料理教室の講師が立って笑っていた。

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