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第9話 地震ーうぶごえ
俺はすぐ理事長の家から逃げ、先生達と甥彦に事態を伝えた。
「沼間君!何が…何があったんだよ!」
「それは………理事長の部屋……部屋で」
甥彦は俺の様子から何か察したらしく
「わかった!俺が、何もかも、先生に上手く言っとく!安心して!とりあえず、兄の、その……遺体を教師達と確認してくる!」
甥彦は俺から離れた。
職員室に一人になる。
「なあんだ理事長が死んだのか」
いつの間にか背後には宍戸が立っていた。
ユラユラ、グラグラと揺れる。
その後に巨大なファンが鳴るような、人の唸り声にも赤子の産声にも聞こえる轟音が校舎中を轟き、大きな揺れへと変わった。
「今までにない、一際ヒドい音と揺れだった……。まるで山全体が咆哮するような……な。とうとう山崩れでも起きるのか?」
宍戸が上を見て睨むように見つめ、そして楽しげに笑う。
次の日。
変わらず俺は制服を着込んで学校に向かった。
朝、授業が始まる前に、
池野倫太郎が俺の教室を訪ねてきた。
「放課後……」
思い詰めたような顔をしている。
「うん?」
「放課後!話があるんだ!ちょっと来てくれないかな?どうしても……」
「わ、わかった」
池野は場所を囁くとすぐ駆け出して教室に戻っていった。
1
暫く授業を受けていたが、やはり、理事長の件のショックから、何となく気が重くなる。
体も……あんな目に遭ったんだ。
ちょっと休みにいこう。
外の風にでもあたりにいこう。
俺は授業を抜け出し、教室を抜け出した。
中庭まで抜け出ようと一階まで階段を降りたら
宍戸!
宍戸がある部屋の扉を開け出入りしていた。
しばらくすると部屋から抜け出どこかへ立ち去る。
近寄るとプレートに「学園長室」と書かれていた。
学園長室か、ここは。
ええと、学園長と理事長って、同じものか?
校長は学園長で、理事長は理事長で、それぞれ違うのだろうか?
扉越しに人の気配があんまり無さそうなので、入ってみる。
……中は電気が消され、薄暗かった。
あたりに目が慣れると、いきなり人の顔が現れびっくりした。
「!!」
…………心臓が止まりそうだった。
……これは人じゃない。
肖像画だった。肖像画がある。
精悍な小麦の肌、長く黒い髪を後ろに縛った、優美な顔立ちの、西洋人の気品あるハンサム顔。腰から上を描いた絵。
貴族の様な佇まいだ。
下に
「学園創始者
ダリオ・アイブリンガーの肖像」
と名前が刻字されてある。
ダリオ・アイブリンガー…………。
肖像画に描かれた男の姿形、顔は、ちっともあの草叢 の悪魔の胸像とは重ならない。
とても優雅に口元が笑んでいる。
あれを作った人には、この人があの胸像の様に見えたのだろうか?
ソッと、学園長室を出た。
外に風にあたりに行く。
外気に触れた時、突然風景がグニャリと歪んだ。強烈な目眩だ。
その場に倒れ込むように崩れ落ちる。
久しぶりに、最悪の現象に見舞われた。
「おい……おい、大丈夫か?」
ん……
「おいったら」
目を開けると、極間近の視界に、宍戸晴樹の顔があった。
「うわっ!」
「学校のドまん前で、倒れて何やってんだよ?」
身体を抱き起こされている。
まさか、宍戸は俺を心配して、助けてくれたのか!?
あの、宍戸が!?
いや、また怪しい集会に攫おうとしてじゃないか?
「貧血か?葵生川があんなことになっちまって……、無人保健室だが、一応このまま抱き抱えて連れてってやるか?」
「や!いいよ……」
「そっか…………あんまり無理して学校に来るんじゃないぞ。たまにはズル休みして休めよ」
そう言ってポンポンと、宍戸は俺の頭を軽く叩いた。
宍戸は離れるとどこかへ消えてしまった。
宍戸の意外な表情を覗いた気がした。
あの不良達の大ボスが……。
あいつが本当に教師達を操って、人を殺害しているのだろうか?
俺は心臓がドキドキしながら慌てて自分の教室に戻り、自分の席へ座った。
2
「ゆ、夢……」
「そうだ、これは夢だ……でも道也が今まで見ていた夢は夢じゃない……」
夢の中の俺の胸板の、離れた双つの先には、あの時の画鋲のようなピアスがはめられ、針を乳頭の奥深くに差し込まれていた。
夢の中の理事長は、その両方のピアスの円状の飾り部を爪で挟むように持ち、釘抜きのように針をゆっくり引き抜きかけ、また奥まで差し込んではを繰り返し、乳頭で性行為の抽送を模している。
「ひくっ……!んふっ…ふっ」
堪らない、芯がビリビリと痛く、熱く、気持ちよく……。
二つの先からかけ登る責めの波。
手先は優雅に、蕾を犯していた。
針が入り、スゥッと引かれては、奥に流れるように舞い戻る……。腰が動く……。
「ふ………は…………う………あぁ……あぁ……」
両方、奥まで針がツプと差し込まれた瞬間、チリとした痛みに気を取られていたら、丁度画鋲の上のようになっている円盤上の部分に、理事長は両方の親指の腹をあて、グリグリと押して回してきた。
「!…ンハァあああッ!!アッ!あっ!アッ……」
電流が脊椎をひた走っていき、細い何本もの糸のような快楽が俺の雄自身と強制的に接続され繋がる。
「……いいかね?道也にはこれから非情なる運命が襲いかかる……俺のあの部屋にずっといさえすれば、未来の哀しい運命から、君を守って、守ってあげられたのに……」
尚もグリグリと強い指が回転する圧力に押され、針が胸の中をうねる。
「ハアッ……!ハアッアッ!!んふァッ!!……」
指を回され、すでに完全に俺の雄自身は立ち上がって起動している。
「死んでしまって……、守ってあげられなくて、申し訳ないね………」
強引な口づけをされる。
「いいか……これは夢だ……。でも、君がこれまで見ていた夢は、夢じゃない………」
3
教室の机でウトウト昼寝をしていたようだ。
起きると夕暮れの空が窓から見えた。
そういえば、と思い出し慌てて、廊下に出た。
池野との約束の、教室の前に来た。
誰も使っていない、未使用の教室だ。
扉を開けるとすぐには池野の姿は見えなかった。
扉を閉め、暫く進むと彼はいた。
「ククク……クックッ……うう……」
部屋の隅に、うずくまって、池野倫太郎が泣いている。体育座りに、顔を膝で覆って。
「池野……」
俺は近付いて、肩に手をかけた。
「くっくっくっく」
「池野……、大丈夫か」
「クククク…………」
様子がおかしい。
次の瞬間、目からも、頭の中も、火花が散った。
池野は向こう側の手に持っていた、置物らしき石で、俺を殴りつけていた。
「逃げたよね?ヌマはあんとき、逃げたよな?僕が助けを求めていても、素知らぬ顔していたな?」
そのまま置物石で足を殴りつけてくる。
「!!ぐあ!!!!」
「この人でなしっ!!!」
そのまま五発くらい一気に足を殴られ、骨を鈍器に潰される感覚に呻いていると、池野は更に小型のナイフを出した。
「刺されたくなきゃ言う通りにしろっ」
首に突きつけてくる。
俺は微かに震えて、静止した。
池野は木造の床に倒れる俺の制服の上着を脱がし、シャツを捲り上げ、理事長の仕業によって散々傷ついた乳首を露わにした。
池野は少々乳首の有り様に驚いたようだが、構わず穴だらけのそれに噛み付いてきた。
「ーーーーぎゃッ!!!!」
歯と歯で捻り潰すように噛む。
口から離して、両方交互に噛む。
「やめろ、やめて池野ッ!!何でこんなことするんだッ!!…ぐぎっ」
「僕と同じ辛さを思い知れ!!」
制服のズボンを奪われ、トランクスを下げられた。
足を広げられ、ここもまた理事長に散々拡げられた後ろ穴を露わにされる。
こんな思いをしている俺でも駄目なの?途方も無いやるせなさ。
池野は拡げられているそこを指で皮を左右に引っ張りよく眺めていたが、フンっと鼻で笑って、ズボンを脱ぎ、自分の怒張を、やはり突き込んできた。
「お母さん!お母さん!!」
と叫びながら。
「ウっ!ウっ!ああ!!!!!!!」
池野の分身が火のように中で暴れる。
熱く尖ったそれは、怒りと憎しみをぶつけてくる。
「逃げやがって!!!逃げやがって!!!」
叩きつける、暴力の音。
「あう!!!やめ……!!!ウッ」
「お母さん!!気持ちいいよ!!!お母さん!!」
お母さん、と俺を呼びながら、乱暴な腰の動き方をし、俺の中を犯していく。
「お母さん!助けてよ!お母さん!」
そう泣き叫びながら俺の中を蹂躙する池野。こんな無軌道な動きでも、俺は十分快楽を刺激され過ぎ顔中から液体が溢れ出してしまう。
「お母さん、出すよっ、お母さんっ」
池野は俺の唇にぢゅうーっと自分の唇を押し付けてきた。そのまま唇を押し付けながら俺の中に精液を絞り出しているのがわかる。
そろそろと恐る恐るだが舌を差し込み絡めはじめてきたので、俺はせめてもの気持ちで自分の舌でツンツンと挨拶するように池野の舌を迎え答えてやったら
池野は嬉しがって興奮してきたようで
そのまま熱っぽくむしゃぶりついてこられ、口内を思うまま勢いよく貪った。
貪りながら中でまた勃ってきた。また腰を擦り付けるように動かしてくる。
「はぁっ……好きっ!ヌマ君、好き!」
急に俺に甘えてきて腕を絡ませながら抱きついて、俺の中をグチャグチャと回し動かし、ついてくる。
「ヌマくん!ヌマくん!好き!」
「ハァっ……池野……そんなに動かしちゃあ………俺……アッ」
「イっちゃえ!イっちゃえ!」
俺が弱りの声をあげると反して乱暴さは更にUPした。
小刻みなくらい速くに律動され、逃げ場の無い歓喜に悲鳴を上げたくなる。
「ヌマくん……ヌマくん……好き」
チュッチュッとキスをされながら、俺は瀬戸際まで追い詰められイッた。
池野もそれから後にまた俺の中に沢山出したが、そのまま逃がされず、離されず、4回戦くらい腰を動かされる。
池野の白濁で本当にグチャグチャのプールになったそこは何回も混ぜ返された。
池野の雄は大きくなく、それが浅いとこを的確に律動し、気持ちのイイとこのみを、終わりから最後まで、永遠にずっとついてくるので、俺は池野がイく以上の数イッてしまった。
「ヌマ君は僕の恋人になってくれる?」
終わりの4回目の最中に心細い声で池野は聞いた。
俺は男と恋人になるなんて考えられない人生を送ってきていたけど。
何も答えないでいると体位を変えられ、四つん這いのスタイルにされ後ろから突かれながら
「ねえ!!なってよ!!」
無慈悲な暴君に、より乱暴にされる。
そんなに激しいと後ろのあの部分がキュンキュンするからやめてくれ。
「ク!!……ッあ……イッちゃ……!」
「なるって言うまでやめないよ!!」
「あ………イッちゃ……ぅ………」
俺は池野のことがさっきから何だかかわいそうに思えてきていたので、つい
「わかっ……た…………池野の恋人になる……から……」
と答えてしまった。
この学園に来てから初めて誰かの恋人になるなんてのを選んでしまった。
ついに同性に本当に自分を預けてしまった。
池野の嬉しい感情が背中腰に伝わってきた。
「あ……あ………イく………!イく………!」
背筋をゾワゾワしたものが走り抜け、指先まで抜けた。
頭の中を噴射感がきた。
体中の力が抜け弛緩しきって床に寝そべる俺の元からすっくと立ち上がり
池野は背後のロッカーをおもむろに開けた。
そこにはハンディカムのスタイリッシュな形状をした小型ビデオカメラがあり
「演劇部から失敬した。
固定でずっと撮影してたんだ。ヌマ君が僕に襲われて、何回もイくいやらしい姿を……」
「!!!?おっおい」
「恋人になるって言葉もちゃんと収録されたからね……もし破ったら……これ全校集会で流す………」
「そ………んな…………池……野…………」
「明日は恋人のヌマ君の寮の部屋に遊びに行ってもいい……?」
愕然茫然と自失。
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