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アナザーエンド 甥彦
甥彦は宍戸を指差し合う。
「しょう、しょうぞうが、と、ししでに、ししでにキスはやめろお」
実道が頭を抱える。
「ししでの言うことを聞くななああ。しし、しでは僕のものだ、だ、だ」
深港の姿をした実道の霊と、宍戸と、甥彦と、一体誰の言うことが信用できる?
「聞くんじゃない!!沼間君!!君は毎日、俺に………、ちゃんと君のままで、生かし続けてあげるから!!」
甥彦が張り上げる。
もう何も分からない。
……分からないが、宍戸と相上は今迄俺にあんな酷い仕打ちばかりをしてきた人間だ。
その上これまでの淫夢まで二人の仕業で、しかも夢では無かったんだと?
何と酷い。
急速な目眩に苦しめられている。
俺はとにかく宍戸を突き飛ばし離れ、逃れた。
「道也!」
反射的に飛び退いた先を、誰かに腕を掴まれる。
「おおっと」
甥彦が腕を掴んでいた。
「相上!宍戸!これが邪神の目覚めだ!!」
物凄い地震が来た。
地下のこの場所も、揺れて立っているのさえ覚束ない。
実道、そして宍戸と相上が揺れに気を取られている隙に、甥彦は俺を捕まえ階段を駆け上がった。
「道也!!さぁ今から、邪神に学園中の生徒を食わせに行くぞッッ!!」
凄惨だった。学園を覆う巨大な影。
見上げると巨大な怪物の顔があった。
それからのあまりに血と内臓の飛び交う光景に、俺は記憶が途切れ飛んでいた。
気が付いたら校舎中に無数の学生服を来た人の死体と、そして中庭には、片目を貫かれた相上、体に穴を開けられたような宍戸、そして……実道の魂が入っていたはずの、片腕を無くした深港の死体が、生気無く倒れていた。
花壇……噴水……ベンチ……レンガの小道……どこもかしこも肉塊と赤い#飛沫__しぶき__#だらけだ。
呆然と血が飛び散る学園を歩く俺を、どこからか笑い声が呼び止めた。
「アハハハハッ!!邪神ッ!!完全!!復活!!ッわけさ!沼間君!君には来てもらうッ」
甥彦は言葉も出ない俺を捕まえ、敷地にある理事長の邸宅に連れ込むと、ベッドに投げ背後から俺を思い切り貫いた。
「ハハハッ!」
「う゛………く゛………ぐぅ…………」
やり方は変わらず乱暴に繋がる甥彦。
「…………助けてくれ……っ」
「無駄だ……!無駄だよ!沼間君!君はずっとここで俺にハメられながら暮らすんだ……ッ!」
俺は甥彦に陰毛を全て剃られ、射精管理の銀色の金属で出来た貞操帯を被せられ、硬く鍵され閉められた。
ズシリと重い貞操帯により自分では触れないようになり、甥彦とのSEX中も外されないので、自ら擦れず歯痒い思いを味合わされる。
後穴の衝撃だけで頂点に達するのが当たり前となり、特に乱暴な甥彦の突きが直ぐに快楽へと体内変換されるようになってしまった。
毎日一回は甥彦の手によって、鍵を外され、精液や尿の付着した貞操帯を外され、泡立てられ洗われるも、泡のソープと共にギュッと握り前後に擦られるだけで、気持ち良すぎて出そうになる。
甥彦はそんな俺の反応をニヤニヤ笑って確かめ、出ないように上手くコントロールしながら弄り回し、出そうになる寸前で最後には冷水をかけて強引に沈静化させ、また清浄にされた貞操帯を閉められる。
かなり気が狂いそうだった。
出したくてたまらない。そればかりが頭を覆うようになってくる。
知らずに帯の中に夢精をしていた時を除けば、
解放されるのは甥彦に後孔を突かれているその瞬間だけであり、やっと心ゆくまで発射できる引き金を与えられる。
俺は発射したくて自分から尻を回し、腰を動かして、甥彦の雄自身を深く抜き差ししてしまう。
甥彦は俺のその姿を見て
「何てさもしい低俗な雄犬なんだ。賤しい、欲望を恵んでくださいと乞う雄犬」と笑った。
「沼間君……本当は君の体を魔物を呼び寄せ現世に表出させるための、苗床にしようと計画してたんだ……。宍戸達の言う通りさ……。でもやめたよ……。約束通り君は君のままで、俺の元に飼ってやる…………。俺は君のことが本当に好きだからね……」
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朝食を食べながら甥彦は突然、道也に向かって言った。
「あぁ、何だか突然パコりたくなっちゃったなぁ」
一声を合図に道也は黙って、下のズボンを下ろし、壁に手をついて、貞操帯だけの尻剥き出しの下半身を、甥彦に向かって向けた。
「良い子になったね、沼間君」
甥彦は鼻歌を歌いながら近付いて、ジッパーを下ろし道也の尻の間に欲求をめり込ませた。
そのまま乱暴に穿つ。
「んッふぅ!!ウッふぅ!!うぐっ!!」
「そうだよなぁ、お待ちかねの射精だもんなぁ!待ってましただよなぁ!」
ビタンッビタンッビタンッビタンッ
甥彦が道也の首根っこを押さえつけ、頭を地面に這いつくばらせた。
ビタンッビタンッビタンッビタンッ!!
「ふッ!!うふッ……!!えっ!!うふっ……!!!」
道也はどんな蔑みにも耐え、ただ与えられる快楽だけに意識を研ぎ澄まさせている。
道也はたまに尻を殴打されながら、背後から激しく征服される。
道也は完全に甥彦の精液の受け皿として生きていた。
尻の間を甥彦の雄の強張りが割り裂いて、欲望のままに前後運動する度に、耐え切れず反射的に精液を勢いよく飛ばす。
そしていつのまにか、道也の尻の中には甥彦の遺伝子情報の湖がプールされ、白い濁りを後孔から滴らせ落ちている。
息を吐き、ぐったり脱力して床に横たわる道也の耳元にそっと顔を近づけ、甥彦は囁く。
「本当に君が好き……。好きなんだ、道也……………」
珍しく名前を呼び、甥彦は道也の手に己の手を重ね、道也の耳に口付けをする。
翌日。
甥彦と共に学園を恐る恐る歩いて道也は驚いた。
甥彦の魔力によって生徒や教師達の悲惨な骸、血の跡さえも、跡形も無く綺麗に消失していたからだ。
それだけじゃない、壊れた筈の何もかもが、元通りに修復されていた。
これなら不審に思った警察やマスコミが乗り込んでも、謎の神隠し事件としか報道されないはずだ。
未解決、迷宮入りである。
「邪神の魔力を得たらこんなもんは朝メシ前だったね」
隣にいる甥彦は軽やかに話す。
二人、校舎の様々な場所を共に巡る。
一際広々とした吹き抜けのホールに出た。
そこには神と天使が描かれたステンドグラスが飾られている。
「沼間君……愛してるよ……」
見つめ合い、校舎のホールの大ステンドグラスの下を結婚式場に見立て、両手を握り合い、唇を吸い合い、生涯の愛を誓う二人。
唇を離すと、甥彦はふ、と照れた様に道也に笑いかけた。
ドクンッ
道也にも聞こえるほどの大きな脈音が、甥彦の内側からした。
「なんだ………ッ!!一体ッ!!!」
邪神の強大な力を手に入れた甥彦は、しかしその力は一介の人間の制御下に置けるものでは無かった。
甥彦が自分の状態を正確に把握する間もなく、
甥彦の身体は捻じ曲がり、頭蓋骨が膨れ、身体の内側から破裂して、爆発し、死んでしまった。
一部始終を見た道也は呆然と腰が抜けたように座り、ついには涙を一筋流した。
(甥彦………君がいなくなったら俺は………俺はどうしたらいい?)
一ヶ月。
道也は誰も居なくなった学園と理事長邸にただ一人、幽霊の様に抜け殻となって暮らした。
そして、ある日、思い悩んだ道也はとうとう、死者を蘇らせる悪魔の魔術儀式を行うことを決意した。
ネクロマンシー……。
黒いローブを頭から被り、魔法陣を床に描き、蝋燭の火を四隅に立て、魔術の短剣を携える。
勿論、生贄の動物の命も。
「甥彦……蘇ってくれ……蘇ってくれ……」
ブルブルとその手は震えが止まない。
死に絶えた四足の黒山羊の死体が、急にビクビクと痙攣し動き出した。
毛の生え揃った手足が、見る間に長く伸びて、毛穴の無い皮膚の白い部分が増え、山羊の顔は縦に伸び、口元は引っ込み、それはグロテスクな顔貌変化であったが、道也にはそんなこと気にならなかった。
道也が固唾を飲み見守る中
次第に形作られる顔と体は、正しく甥彦の姿だった。
『ア゛………ア゛………ア゛………ア゛………』
「甥彦!!」
成功を、悪魔魔術を行いながら、神に感謝する勢いで喜ぶ道也は、早速、甥彦の元に近寄り横たわる衣服をまとわぬ出来上がったばかりのその体を支える。
「甥彦、道也だよ、甥彦!わかるかい」
「ア゛………ア゛………ア゛………ア゛………みち、や゛………」
生まれたての赤子が初めて言葉を習うように甥彦の顔は発した。
その顔面の半分はまだまだ未形成。青黒く爛れていて、目の周辺は肉が見え赤い。
感激して顔を顔に擦り寄せる道也だが
ーー……だが道也は分かっていなかったのだ。
道也の願望した、甥彦の姿をしている肉体に入っている魂は甥彦の魂なぞではない。
道也の見知らぬ、とんでもない邪神の魂なのだと…………。
血走り濁りのある目はギョロリと道也のほうを向いた。
甥彦エンド『邪神、誕生』
End
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